ルペン氏への対抗馬として人気があったフランスのマクロン大統領の支持率が急落。「労働市場改革」などの誤った政策をフランス国民に見透かされたためです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
マクロン人気はどこへ。デフレ下の「労働市場改革」で支持率低下
就任100日、マクロン大統領の支持率はすでに危機ライン
ルペン氏の主張は基本的に正しかったのですが、トランプ大統領のようなオープンさがなかったことから、マクロン氏が圧倒的な人気でフランス大統領になりました。
さすがに、大統領選挙の際のルペン氏の集会の動画を見ると、全体主義を連想させる怖さが感じられました。
こうして大統領選挙と議会選挙で勝ったマクロン氏でしたが、国際金融資本の「傀儡」であることがバレて、支持率は急落。
フランス国民は「景気を良くして欲しい」とか「輝けるフランスを再び」という思いで投票したわけです。しかし、マクロン大統領は議会で多数を握ると、解雇やリストラにつながる「労働市場改革」などを始めました。
フランスの世論調査(IFOP)によると、「就任後の100日の仕事ぶりに満足する」と回答したのはわずかに36%。マクロン大統領の事実上の支持率が36%で、世論の支持率の面では、政権の「危機ライン」になっています。
「労働市場改革をすれば、失業率が下がる」という誤り
日本では既に経験済みなので、労働市場改革をしても、失業率が下がるとか、景気が良くなるということはないという実感があります。ですが、従来の欧米の経済学者などがよく言うのは、「労働市場を改革すれば、失業率は下がる」です。「賃金が下がれば、雇用は良くなる、景気は良くなる」とも言っています。
しかしこれは、特にデフレ傾向がある中では、まったく誤りです。これをマクロン大統領が言い始めたので、フランス国民は反発しているのです。
日本でも、バブル崩壊後の不況に対して労働市場を改革し、解雇やリストラを進めれば失業率は下がるという経済評論家がいました。
もっともらしく聞こえる説ですが、実際はそんなことにはなりませんでした。
つまり、解雇とリストラで景気は悪化し、個人消費は低迷。デフレ・スパイラルに陥るわけです。
失業率が下がるのは、逆に賃金が上昇していて、景気が良い時ということになります。当てはまるのは、1990年頃までの日本です(いま日本の表面上の失業率が低いのは、カウントの仕方の問題です)。
では、「労働市場を改革すれば、失業率は下がる」は、なぜ間違っているのでしょうか。
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