「売れるはず」のその不動産は、絶対に売れない
日本で空き家率が増えるのは避けられない。
総務省統計局は2011年より人口が年間20万人規模で減少しているとしている。少子高齢化が解消できないので人口減が止まらないのである。
さらに、若い「働き手」の多くは都会に行くので、まずは地方から、村や町が成り立たないほどの人口減に見舞われている。
こうしたところでは今後も人口が増える見込みが立たないので、借り手も買い手も見つからない。その結果、どうなるのか。不動産価格は暴落することになる。
また、こうしたところでは商業施設も病院も撤退し、個人商店も一代限りで廃業するので、取り残された高齢者は買い物すらもできなくなってしまう。現在、こうした買い物すらもおぼつかない生活をしている人は全国で約700万人もいる。
そのため、残された高齢者もそこで暮らすことができなくなり、やがては施設に入っていく。
「スラム化」の波は首都圏にも
東京圏は大丈夫だと思っている人もいるかもしれないが、東京圏でも埼玉や千葉は人口減に向かっており、空き家率はどんどん増えている。
バブル期、千葉の郊外に作られた1億円以上の住宅が、今や3000万円でも買い手が付かず、居住者はいなくなったり老いたりして建物もバケモノ屋敷のようになってしまっているというのはよく知られている。
また、高度成長期にあちこちに作られた「ニュータウン」も老朽化して無残な姿をさらけ出している。こうしたところではバス通勤が必要なのだが、人口が減ればバスも本数を極度に減らすか廃業するしかなくなる。
かくして、日本全国の空き家数は820万戸となり、それが売るに売れない状態となってしまっている。売れるはずだった不動産が売れないのである。