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「早く大地震が来てほしい」築古マンションが直面する苛酷な現実とは=廣田信子

高経年マンションを再生しても、結局いつかは建物を取り壊わさなければならず、その費用は区分所有者が負担しなければなりません。あなたは、このマンション管理組合の理事長の話を、とんでもないと否定できますか?(『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』廣田信子)

プロフィール:廣田信子(ひろたのぶこ)
マンション総合コンサルティング(株)代表取締役、一級建築士、マンション管理士 、元マンション管理センター総合研究所主席研究員。著書『2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法!』好評発売中。

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困難な費用捻出と合意形成

高経年マンションの未来を考えるにあたって、建替えは簡単ではなく、できるだけ再生して長持ちさせようという話までは、かなり理解してもらえるようになった気がしますが…。

では、その後、築70年、築80年まで維持したとしてその後はどうするか…マンションの最期をどう考えるか…そこまでは、なかなか考えが及ばなくて当たり前です。

しかし、いつかは建物を取り壊わさなければならず、その費用は区分所有者が負担しなければならないのです。

定期借地権付きのマンションでは、60年後には土地を返却することを前提に、当初より解体費用を積み立てるのが一般的です。

しかし、一般の土地の所有権を有しているマンションで解体費用まで考えているケースは非常に少ないです。

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数少ない事例は、立地的に、建替えは難しいが、更地にして解体費用を上回る価格で売却できる見通しがあるマンションで、早いうちから長期の修繕計画を持ち、相応の修繕積立金を持っているところに限られると思われます。

マンションを再生させるための費用を捻出しながら解体費用まで積み立てるというのは、簡単に合意形成できることではありません

あるマンション管理組合理事長の話

旧耐震基準で耐震性が不足している診断を受けた、あるマンション管理組合の理事長さんと話していたら…腹をくくって、こんな話がはじまりました。

高齢世帯が多くて、
最低でも戸当たり500万円はかかる耐震改修工事の
合意形成ができる見込みがない。

しかも、耐震改修しても、
人の命は守れても、建物が壊れない訳じゃないという。

しかし、阪神淡路、東日本、熊本の大地震で、
耐震性が不足していてマンションは壊れても、
人の命が失われたという事例はないじゃないか。

もう、うちは何と言われようがこのまま行くよ。
(※次ページにつづく)

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