昨今のインフレによって、サラリーマンの家計は逼迫しており、副業を検討している人も多いかと思いますが、中には不動産投資を行い、それで安定的な利益を得たいと考えている人もいるのではないでしょうか。今回は、専門家に「不動産投資の成功例、失敗例」等をいくつかご紹介いただき、不動産オーナーを目指す人が気をつけるべき注意点について解説してもらいます。( 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 )
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2024年12月5日号の一部抜粋です。続編にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年独立。フランチャイズオーナーや投資家として活動。サラリーマン時代に副業で出版した『プロフェッショナルサラリーマン』でビジネス書作家デビュー。「仕事術」「お金」「コンディション」「副業」などテーマは多岐にわたり、異分野で10万部超えを3度達成。著者累計は49万部。これからは、サラリーマンでも副業やお金の知識向上が不可欠と実感し、啓蒙に尽力している。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を7年連続受賞。
相変わらず高値が続く不動産市場
相変わらず高値が続く不動産市場。
値上がりが続けば、当然、多くの投資家を引き寄せることとなり、2024年の日本の不動産投資額は、対前年比5割増になる見込みです(日経新聞Web版:2024年11月25日より)。
昨今のインフレによって、サラリーマンの家計は逼迫しており、副業を検討している人も多いかと思いますが、中には不動産投資を行い、それで安定的な利益を得たいと考えている人もいるのではないでしょうか。
今回も、国内不動産の専門家である丸山修平さんをゲストにお迎えしています。本日は、丸山さんに「不動産投資の成功例、失敗例」等をいくつかご紹介いただき、不動産オーナーを目指す人が気をつけるべき注意点についてお話しいただくことにしましょう。
プロフィール:丸山 修平(まるやま しゅうへい)
新卒で物流企業に就職するも、会社が半年後に倒産。その後、父親の紹介で2500室の不動産物件を所有する不動産会社社長と面会し、不動産の将来性に目覚める。日本橋にある老舗不動産会社に勤務した後、26歳でMJトラスト株式会社を設立。事業用オフィスやホテルの売買仲介、マンションのリノベーション事業、物件管理業務などを事業とする。現在は、会社経営の傍ら、ビルオーナーや個人投資家などを対象に、不動産の総合コンサルティングも行う。人生最大の買い物である「自宅」での失敗は家計の致命傷になるため、マイホームにも投資家視点を取り入れることを啓蒙している。
※本記事は、丸山さんへの取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。
日本の不動産物件は“3極化”する
俣野:現在の不動産市況を見て、「この異常な高値はバブルだ、もうすぐ下落に転じる」という人もいますが、丸山さんはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
丸山:マクロ的な視点から、現在の不動産市況を考えますと、確かに新築マンションなどは、もはや一般的なサラリーマン家庭では手が届かない状況になりつつあります。この現状を見て、かつての不動産バブルを思い浮かべる人も多いのではないかと思います。
ただ、当時とは違う点もあり、単純に「高くなったから以後は下がる」とは言えないのではないかと考えます。
一番の違いは、現在の日本は人口減少に直面していることです。バブル期は、日本の経済成長期とも重なり、人口も増えていましたので、不動産が値上がりするのは、ある意味、当然でした。
一方、今の日本は経済も成熟し、人口が減ってきていることから、不動産は基本的に供給過剰になっています。
供給過剰であれば、不動産価格は下がるのが普通なのに、逆に上がっている理由は、一部のエリアの物件が突出して価格を押し上げているためです。
俣野:つまり、全体が値上がりしていたバブル期と違って、今は値上がりしているエリアと値下がりしているエリアに分かれている、ということですね。
丸山:おっしゃる通りです。人口が右肩下がりに下がっているということは、要は入居してくれるお客様が減っているということです。
人口減少により、需要という名のパイが小さくなってきているのは確かです。しかしその分、利便性の高い地域や、魅力のある地域に、人々が引き寄せられる現象が起きています。
実際、東京、千葉、埼玉、神奈川といった関東圏や、大阪、福岡といった一部の地域が他を圧倒し、転入超過状態になっています。
しかも、同じ東京でも、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区の都心部6区のマンションが、この半年で14%上昇し、それ以外の地域との差が一段と大きくなっています。
大阪でも、中央区、西区、福島区、北区、天王寺区、浪速区で人口増加が起きていますが、それ以外の地域では人口が減少しています。
今後、日本の不動産は、
・価値を維持、あるいは上昇する地域:約10%から15%
・なだらかに下落を続ける地域:約70%
・限りなく無価値、あるいはマイナスの地域:約15%から20%
という3極化が進行していく、というのが私の予想です。
俣野:投資家として不動産市場に参入を志す者は、この3極化を念頭に物件を検討していく必要がある、ということですね。
これからの不動産は、今まで以上に場所が運命を左右する
俣野:それでは、実際の不動産事例をいくつかご紹介ください。
丸山:今、お話しさせていただいた内容を念頭に置きながら、お読みいただければと思います。
1つ目は、2017年にご購入いただいたS様(50代男性、会社員)の事例です。