誤った認識で進む、トランプ氏の「通商政策」
また、通商政策については、やはり彼のやり方はマイナスになります。アメリカは自由貿易協定NAFTAがあるカナダとメキシコはほどほどに使っていて、それによりコスト競争力が出ているのです。それらを無理にアメリカに持ってくることで、アメリカ企業の競争力が削がれることにつながります。
トヨタは5年で1.1兆円の投資をすると言っていますが、これはトヨタにとっては誤差の範囲です。トヨタはメキシコ工場を止めるわけでもありません。そして、トランプ氏が間違っている点は、実は非難されたカローラはカナダで作っているのです。それをメキシコのグアナファト州で作ろうとしているわけです。
さらにバハで作ると発言しましたが、実際にバハで作っているのはタコマであり、トランプ氏の頭は全くクリアではないのです。アマゾンも10万人の雇用と言っていますが、倉庫と配送人ばかりだということです。今回の通商政策は、幼稚園レベルの認識に基づいて、ツイッターで命令をしていると言えるのです。
一方、日本の国別投資残高はアメリカが圧倒的一位です。この点をトランプ氏にわかるように説明してあげる必要があると思います。彼は日本と中国は同じことをしているという認識ですが、日本の場合は北米が生産基地になっており、トヨタなどは、部品会社も多数連れて行くなど、誰よりも雇用を作っているのです。功績を讃えられてしかるべきだと思います。
本記事は『グローバルマネー・ジャーナル』』2017年1月18日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に無料登録をどうぞ。本記事で割愛した「【オーストラリア】都市部の住宅価格2016年に10.9%上昇」もすぐ読めます。
『グローバルマネー・ジャーナル』(2017年1月18日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による
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