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アメリカ離れに舵を切るIMF。彼らは「格差」の何を恐れているのか?=矢口新

日本の「格差拡大」が止まりそうにない理由

IMFの突然の寝返り提言は、富裕層に背を向けたのではなく、これ以上の格差の拡大は社会の分断、最悪の場合には革命にまで繋がりかねず、かえって富裕層の利益にならないとの危機感からのものだとも言える。

にもかかわらず、日米政府は、こうした格差拡大政策を20数年続け、財政を悪化させ続けていながら、引き返す方向ではなく、さらに推し進める方向だ。

つまり、現状の消費税率引き上げの目的も、当初から財政健全化を意図したものではなく、格差拡大を推し進めるためものだったと思われても仕方がない。

財政面では、ドイツだけが黒字化したが、これはドイツがユーロ圏の経済政策を事実上支配したためで、ユーロ圏全体での財政は悪化した。

カタルーニャ自治州に対するスペイン政府やEUの態度を見ても分かるように、政治は理念や主義ではなく、「力」だというのが、世界の常識なのだ。スペイン政府自身が、EUやドイツに対して感じ続けてきた理不尽な不公平を、下位の自治州に押し付けている。何やら、米政府、日本政府、沖縄県の関係に似ていなくもない。

足元では、世界的に景気拡大が見られているが、これは世界的な未曽有の資金供給と、超低金利政策のためで、最近ではその弊害も目立つようになった。

例えば、ユーロ圏の主要銀行で健全なのは60行だけで、残る51行が要注意とされていることだ。これ以上の金融緩和はもはやほぼ不可能で、そのために、日本を除く世界の主要中央銀行は、金融政策の「正常化」を模索し始めている。

IMFは、「不公平が行き過ぎると社会の団結が揺らぎ、政治の二極化を生む。最終的には経済成長の低下をもたらす」とする。とはいえ、格差拡大の悪影響は社会の分断や革命の恐れだけではない

1%に世の中の富が集中すること自体が、金融引き締め効果を持つためだ。1%に消費させるより、99%に消費させる方が、経済効果が大きいことは言うまでもない――

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※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2017年10月16日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

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相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2017年10月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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