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中学生をヘイトスピーチで中傷。SNSごとに人格を変えるネット攻撃の闇=三宅雪子

2016年にヘイトスピーチ解消法(対策法)が施行されましたが、現状は改善していません。最近も韓国籍と日本籍を持つハーフの男子中学生がネット上で中傷される事件が起きました。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)

※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2018年2月2日, 9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:三宅雪子(みやけ ゆきこ)
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。

匿名なら何を言ってもよいのか? ネットで繰り返される差別発言

解消されないヘイトスピーチ

2016年6月にヘイトスピーチ解消法(対策法)ができて、今年6月で2年になります。法律ができるまでの多くの方々の尽力には頭が下がりますが、一方、なかなか減らないヘイトスピーチの現状もあります。そもそもヘイト(スピーチ)の概念すらわかっておらず、政権批判をヘイトスピーチだという方がいまだにいるのが悲しいかな日本の現状です。

ヘイトスピーチ対策法

特定の人種や民族、宗教などの少数者に対して、差別意識を助長・誘発する目的で、生命や財産に危害を加えるように告げ、地域社会からの排除をあおる言動を「不当な差別的言動」と定義した。国や自治体は、相談体制の整備や教育・啓発活動などの施策で差別の解消に取り組むよう求められた。罰則はない。(2016年6月)3日に施行される。

出典:ヘイトスピーチ対策法とは – コトバンク

広義でいうと、差別とは、特定個人や集団に対して「正当な理由なく」不利益を与える行為を指しますが、まさに、これにあてはまる事件が最近起きました。不利益どころか危害と言っていいようなものです。

ネット上で巻き起こった差別的な個人攻撃

ラップを通じて平和について考えるイベントに参加した川崎市に住む中学3年の男子生徒(15)に対する差別的な中傷がインターネット上で相次ぎ、事態を重く見た神奈川県弁護士会は2日、「ヘイトスピーチによる人権侵害に警鐘を鳴らし、是正を求める」などとする会長談話を発表した。

出典:ネットで中学生に差別的中傷=ヘイトスピーチと警告-神奈川県弁護士会 – 時事ドットコム(2018年2月2日配信)

事件のきっかけとなったイベントは1月21日に川崎市で行われた平和について考えるワークショップだったとのことです。この男子生徒は、韓国籍と日本籍を持つハーフで、ヘイトにさらされた自己の経験を基にしたラップを披露して、その様子が新聞やニュースサイトで実名で紹介されました。

その報道後から、インターネット上には男子生徒を名指しした差別的な中傷が急激に増加。書き込みは転載も含め数十万件に及んだということですから異常事態です。

高校進学を控えている中学生は恐怖を訴えているとのことで、気の毒でなりません。神奈川県弁護士会もこの事態に対して非難の談話を発表しました。

加害者への法的措置も可能

先に紹介した通り、ヘイトスピーチ対策法には罰則が設けられてませんが、特定の個人に対する中傷は、名誉毀損の疑いでの告訴や損害賠償請求が可能です。名誉毀損が親告罪であることから、今後の対応は男子中学生の意志に委ねられますが、個人的には社会的影響を考えると、法的措置は取って欲しいと思います。

匿名での誹謗中傷というと、タレントのスマイリーキクチさんが受けた被害を思い出します。中傷は1999年ブログ開設とともに始まり、2009年18人が摘発されてもまだなお続きました。10年以上ですね。そのスマイリーキクチさんは「ネットに匿名はない」と訴えています。

今回の事件は、男子中学生が刑事告訴に踏み切れば、おそらく過去最大の摘発となる可能性が高いと思われ、今後の成り行きを注目しています。

Next: ツイッターとフェイスブックで人格がまったく違う人も

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