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小泉、野田、安倍――内閣支持率のピークアウトと株式相場の関係を考える=山崎和邦

内閣支持率のピークアウトが意味するもの

わが国では日経平均株価が2倍半になる大相場では必ず愛称がついた。

1972年は週足14本の連続陽線をつけて株価は1,981円から5,359円へと2年で2倍半になった。これを「列島改造相場」と言った。

1987年のブラックマンデーから2年で、株価は20,000円から38,915円へと約2倍になった、これを「平成バブル相場」と言った。

また2003年の7,607円から2年半で18,261円まで2倍半になった、これを「郵政改革相場」と言った。

経済白書が夏のベストセラーだった時代に、白書は景気循環に愛称をつけたが、すべて事後にである。同様に、株価の大相場も事後に自然に愛称がついた。

しかし今回は最盛時から「アベノミクス相場」と言われ、株価は経済政策と共に進んだ。戦後、今の内閣ほど株価に気を配った内閣はない

今回ほど政策と密に直結した相場も珍しい。過去の相場において、財政出動を好感し一時的に6割上昇したことが、「失われた13年(90年1月の大暴落から03年「りそな救済」で方向転換するまでの、不良債権山積時代)」で3回あったが、その最盛時から愛称で呼ばれたことはなかった。

今回は株価上昇の初期からアベノミクス相場と言われていた。それだけに「安倍内閣の支持率」は「株価の支持率」と同義である。

その安倍内閣の支持率がピークアウトしたということはアベノミクス相場がピークアウトしたということになる恐れがある。

これから老年期相場があるとすれば、それは“夢よもう一度”の相場だから、最高値を抜くくらいのことはあり得て不思議はないが、老年期相場の「老いらくの恋」は青春期相場とは勢いも内容も違ってくる。

そして、それが実現するためには1日売買代金3兆円超が続かねばならない。

相場という生き物は一人の権力者の思惑だけで動くものではない。しかるべき政策を伴ってこそ動くものだ、これを安倍さんは忘れてはならない。

こうした状況は2013年の参議院選挙や14年の消費増税を控えた20122年夏とまったく同じ状況だと思う。当時の野田政権も支持率低迷に喘いでいた。

いまの安倍政権は女性活躍推進や地方再生という看板政策が支持率にまったく効いていない。支持層が男性に多く、関東関西の都市部に多いのがその証左であると謙虚に受け止めるべきだ。看板政策を案出しなければ現在の黄信号はより強まる恐れがある。

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2015年8月2日号)より一部抜粋
※太字とチャート画像はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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