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なぜ家計の危機に気づかない? 破綻寸前の事例で学ぶ起死回生のマネープラン=俣野成敏

目標達成には、いろいろな方法がある

この場合、まずはAさんの平日の夜と土日の枠がすべて埋まったとして、「今の顧客単価のままで、売上80万円に到達することは可能なのか?」と考える必要があります。

難しい場合は単価を上げる方法を考えたり、「他のビジネスとの組み合わせができるか?」といったことを検討していきます。

たとえば、新しい技を磨いて、その分だけ単価を引き上げたり、空いている平日の昼間などを利用して派遣講師などの仕事と兼業するといった方法があるでしょう。

【サラリーマンが独立するまでのステップは3つ】

理想を言うのであれば、サラリーマンの方が独立してもいいタイミングとは「サラリーマンで得ていた収入と同じくらいの収入が副業でも稼げるようになった時点」になるでしょう。

とはいえ、自分の時間のほとんどを昼間の勤務に費やしている中で、さらに副業でサラリーマン所得を超えるというのは、かなり難しいのではないかと思います。

ですから、まずは時間単価で超えることを意識していただきたいと思います。順番的にはこうなります。

第1ステップ:副業の時間単価でサラリーマン時給を上回る
第2ステップ:額面でも副業収入がサラリーマン給与を上回る
第3ステップ:サラリーマンを卒業する

通常、副業として取り組んでいる事業の時給がサラリーマンの時給を上回るようになれば、月間170~180時間ほどの労働時間も自らの事業に投入することによって、普通は収入が増えていきます。

第2ステップに上がる前に独立したAさんは…

ところがAさんは、まだ第2ステップに上がる前に会社を辞めてしまいました。こうなってしまっては、後は「自分の時間単価×稼働時間=売上」の式を、どれだけ埋められるかにかかっています。現状、Aさんのセールス能力がどれくらいなのかは未知数です。

実はこれまで、サラリーマン収入とほぼ同額の生活費を使ってきたAさん。サラリーマン給与が丸々なくなってしまったことにより、当然ながら現在は貯金を切り崩して生活しています。

しかし、ご本人は「これから顧客が増えれば収入も増えるから」と言って、生活費を切り詰めるつもりはない様子。しかも、まだないお金を当てにして「資産運用の話を聞かせて欲しい」と口にします。

他人のことは冷静に見れる

おそらく、ここまでお読みになった読者の方の多くが、「これで大丈夫なのかな?」と思われたことでしょう。実際、こういう方は意外に多いのが実情です。

他人のことであれば「おいおい、大丈夫か?」と言えるのに、自分のこととなると、「上手くいく」と思ってしまうのです。

もしかしたら、Aさんはすごいビジョンを語れる人で、いきなり事業が軌道に乗るかもしれませんし、これからセールスで大逆転をするのかもしれません。ですが、「もしそうならなかった場合はどうするのか?」ということも考えておかなければ、大ばくちを打っているのと同じことになります。

根拠のないマネープランは身を滅ぼす

マネープラン的な観点からお話しますと、「収入が上がったのであれば、上がった中での生活をしてもいい。けれど、上がっていないのであれば、今あるものの中で生活をする」という考え方が基本です。月10万円で生活するのは難しいにしても、まったく削ることなく収入に見合わない生活を続けるのは、後で自分を窮地に追い込む可能性があり、オススメできません。

一方、ご希望の「20年で2億円の資産をつくる」ことに関しては、仮にAさんの計画通り「月に80万円稼いで、そこから生活費を差し引いた残りを今から積み立て運用していく」のであれば、到達することはできます。とはいえ、今後生活費が増えていくことなども考慮しなければなりませんが。

たとえ今の計画がうまくいかなくても、これから軌道修正は可能です。ぜひ、Aさんが夢を実現できることを願っています。

Next: 事例:老後が近いのに、まだ準備ができていない場合は?

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