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貿易摩擦に苦しむ農家に現金支援。トランプの「人気取り」を市場はどう見る?=高梨彰

トランプ政権は貿易戦争で苦しむ米国内の農家に対し、最大120億ドルの現金支援を行うと表明。中間選挙を見越したカネのばら撒きを、市場はどう捉えるでしょうか。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年7月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

農家は嬉しいが農業には痛手?中間選挙対策のばら撒きで市場は…

貿易摩擦に苦しむ農家を支援

親戚に農家の人が居ることもあって、農政にはちょっとした関心があります。

補助金1つを取ってみても、減反の代わりに補助金を与えるのか、新事業のために補助金を与えるのか、補助金の性格によって波及効果も変わって来ます。少なくとも、やる気のある農家にとって、どちらが有益かは明らかです。

トランプ政権は、米国内の農家に対して最大120億ドル(1.3兆円程度)の支援を行うと表明しました。貿易摩擦の影響を緩和させるための措置です。

中間選挙に向けたカネのばら撒き

トランプ政権の追加関税を受けて、大豆価格は5月末から16%下落しました。中国への輸出が滞り、大豆がダブつくと懸念されたためです。

これは全米農家への打撃となります。作ったモノの価格が下がれば、やる気もなくなります。

これを補うための「現金支援」です。主に米国中西部の農家が補助を受けることになりそうでして、言うまでもなく中間選挙に向けてのおカネばら撒きです。

こういうものは朝三暮四です。支援を受けた農家の多くはトランプを支持する気がします。

反対に事業は停滞。「農家」からの票には即効性のある効果、「農業」にはちょっとした痛手、そんなところです。

知識層からは「これは戦時・不況下の政策だ」との批判が噴出するはずです。まぁ、貿易「戦争」なので、「そうだけど?」とトランプ大統領に言われたら返す言葉もないのですが…。

マーケットは好感か

マーケットはやや前向きに捉えそうです。故事同様、先に多くエサを与えられる方が嬉々としやすい性格ですから。

加えて、25日に予定されているトランプ大統領とEUのユンケル委員長との会談にもちょっとしたスパイスとなるかもしれません(編注:原稿執筆時点7月25日朝。会談終了後の会見では、双方が関税・貿易障壁の撤廃に向けて協議を進めていくことで一致したと発表されました。歩み寄りを見せた形ですが、協議は難航するという見方が大勢を占めています)。

貿易摩擦について、EUとアメリカが少しでも歩み寄れば、株価も上がります。トランプ支持拡大と合わされば意外高の芽も出てきます。下馬評では交渉は難しいとのことですけど、焦点がボヤけがちな会談であるだけに注視したいところです。

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高梨彰『しん・古今東西』』(2018年7月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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