中国のスマホメーカー「Xiaomi(シャオミ)」が7月9日、香港市場に上場しました。ユニークなビジネスモデルで急速に販売台数を伸ばす同社の戦略を分析します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年7月24日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
新機種を売るだけじゃ生き残れない。普及率「頭打ち」後の戦略は
ついに香港市場に上場へ!
今日は、中国のスマホメーカーXiaomi(シャオミと読みます)が香港市場に登場することになりましたので、Xiaomiのビジネスを詳細に見ていきたいと思います。
上場した市場が香港市場であるため、上場申請書のすべての通貨は中国元で記載されています。この記事では1中国元あたり16円という前提で、日本円と合わせて付記したいと思います。
※参考:Xiaomiの上場申請書(PDFファイル)
Xiaomiってどんな会社?
ご存知の方も多いかもしれませんが、商品を簡単に紹介したいと思います。
Xiaomiの主力製品は、この図にあるようにスマートフォンです。Androidの独自OSを開発しているだけではなく、ハードウェアとしても、低スペックから高スペックに至るまで、いくつかの種類を販売しているのが特徴です。
スマートフォンだけではなく、IoT型のデバイスもたくさん販売しています。ここにあるようなスマートスピーカーだけではなく、テレビに接続するためのセットトップボックス、ヘッドフォンなどなど、成長著しいあらゆるスマートデバイスを手掛けている、と考えて間違いありません。
売上・営業利益~成長速度は前年比の2倍
売上と営業利益で見てみましょう。
2017年の1年間で、売上は1,146億元(約1兆8,336億円)、粗利益が152億元(約2,432億円)、営業利益が122億元(約1,952億円)となっています。
売上だけ見ても前年と比べて約2倍近いスピードで成長しており、営業外損失を除けば営業利益は十分プラスになっており、営業利益率も10%を超える水準になっています。
セグメントとしてはこの表にあるとおり、大きく3つのセグメントがあります。
1つ目はスマートフォンセグメントで、売上の約70%を占めています。
2つ目はIoTやライフスタイル系のプロダクトで、売上の約20%を占めています。
3つ目はサービスセグメントで、売上の約8.6%を占める規模にまで大きくなっています。
ネットサービスや小売まで幅広く展開
Xiaomiが非常に特徴的な会社であると言えるのは、スマートフォンやIoTプロダクトといったハードウェアだけに注力しているのではなく、ネットサービスや小売まで、幅広く展開している点です。
ハードウェアのビジネスというのは、一旦ハードウェアを売ってしまうとそれ以降、次のデバイスを買ってもらうまで売上が立たないわけですが、Xiaomiの場合は、一度ハードウェアを購入してくれた顧客にソフトウェアサービスを提供することで、収益が上がり続けるモデルになっている、というのが非常に特徴的です。
またハードウェアの販売方法も、Appleを意識しているのかどうかはわかりませんが、オンラインと独自の店舗での販売に注力しています。
この記事では、スマートフォンセグメントとサービスセグメントの2つを詳しく見ていきたいと思います。
なお、Xiaomiの上場目論見書は、スマートフォンの市場に関して非常に詳しいマーケットデータが多く記載されており、その辺のアナリストレポートを読むよりも、とても勉強になる内容になっていますので、そちらも併せて解説していきたいと思います。