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仮想通貨の価格は「信用」を得て桁違いに。ブロックチェーンがもたらす金融革命(下)=俣野成敏

仮想通貨市場はこれから爆発的に大きくなる?

俣野:では、以後は爆発的に増えていく、ということでしょうか?

大前:それは未来のことですから何とも言えません。現在の仮想通貨市場は約40兆円前後であり、トヨタ1社の2倍弱くらいの時価総額です。ブルームバーグの調べによると、世界3大規模であるアメリカ、日本、中国の株式市場の時価総額を合わせると、約5000兆円ほどです(2018年8月3日Web版)から、おそらく仮想通貨市場が急になくなったとしても、世界経済には何の影響も与えないでしょう。

とは言え、その技術まで“なし”にはできません。世の中のマネーはまだまだありますから、その中の一部でも仮想通貨市場に流れ込めば、市場が一気に大きくなる可能性はあります

では、どのタイミングでお金が入ってくるのか?ということに関しては、条件があります。今、世の中の富の大部分は、世界人口の約1%の富裕層が握っています。彼らがまとまった資金を仮想通貨市場に投じるためには、法律と税務がきちんと整備されていなければなりません

多くの人は、「お金持ちはたくさんお金を持っているから、少々のリスクなど気にしないのではないか」とお思いかもしれませんが、お金を失うことは、誰にとっても怖いことです。お金持ちはリスクコントロールに長けていたからこそ、お金持ちになれたのです。ですから彼らにとっては、仮想通貨が持つ可能性よりも、リスクのほうが何倍も気になるのです。

2. 仮想通貨が“お金”として定着するタイミング

2017年12月から翌年1月にかけて、仮想通貨は大きな盛り上がりを見せた後、現在では日本の取引量は大きく減っています。巨額のお金が動く金融業界で、果たして仮想通貨は生き残っていけるのでしょうか?

【金融商品の要となる“フレームワーク”】

俣野:いつの世も、現実が先行し、法律や税務は常に後付けです。つまり、仮想通貨市場でこれらが整うには、まだ時間がかかる、ということだと思います。となると、市場に大きなお金が入ってくるのはもっと先になる、とお考えですか?

大前:そこまで先になる、とは考えていません。確かに、法律などが整うのはもっと先になるでしょうが、業界ではすでに、仮想通貨のフレームワークづくりに向けて動き出しています。

俣野:フレームワークとは、どのようなものでしょうか?

大前:たとえば、私たちの年金を運用しているところは、当然ですが国や金融庁が課している厳しい条件を満たしていなくてはいけません。顧客の大切なお金を預かるわけですから、内部管理にしろ、監査機能にしろ、正しく行っている会社であることが求められます。ここでポイントになってくるのが「分別管理」です。自社の資産と顧客から預かった資産を別々に分けて保管しているかどうか、ということです。

このようなサービスをカストディアンビジネスと言い、要は信託保全サービスのことです。通常、顧客は自分の資金を投じた後のお金がどうなっているのかを、知ることはできません。数ヶ月に1度、報告書などで運用状況を確認できると言っても、書かれていることが真実なのかどうかがわかりません。ですから、分別管理を導入することによって、運営側が顧客のお金を勝手に動かせないようにしているのです。

Next: 仮想通貨は信用づくりの真っ最中。資金流入が本格化するのはいつ?

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