日本側の負担増。事実上の英語公用語化は時間の問題だ
TPPと言語の問題に関してさらに言えば、TPPの「政府調達」(公共事業の入札など)関連の案文では、やはり調達計画の公示は英語を用いるように努めるべきだと規定されています(内閣府HPにあるTPP協定の「全章概要」[PDF]の第15章7条「調達計画の公示」53ページより)。
TPP発効後は、地方自治体が行うようなかなり小規模の公共事業の公示や入札手続きに伴う事務であっても、英語が使用できなければならなくなるのでしょう。
日本の政府や自治体には、かなりの負担になるはずです(業者に頼んで英訳してもらうことになるのでしょうが、財政負担は多額となるでしょう。米国をはじめとする英語圏諸国の業者がここで大いに儲けるんでしょうね)。
おそらく、入札後の事務手続きも、英語が使えないと文句を言われることになりますので、そこも英語化されていくのではないかと思います。やはり、日本でも、英語が次第に事実上の公用語となっていきそうです。
なぜ、ここでも政府は、やすやすと「調達計画の公示」は「英語を用いるよう努める」という条文を認めてしまったのでしょうか。英語圏の国が一方的に有利になり、日本語を含む非英語圏は不利になります。
せめて、「政府調達の文書は英語と同時に日本語でも作る」とか、あるいは、それが利己的でいやだというのならば「TPP加盟諸国の公用語すべてで作成する」とすべきだったのではないでしょうか。
国際交渉の場では、国民のために主張すべきことを主張せず、国内では、国民に十分な情報を与えず、議論の場からは逃げ回る。
そして国民に対しては、「グローバル化の時代だから、これからは外に打って出なければだめだ。英語がしゃべれなければ失格だ!」などとしたり顔で説教をする。
なんか最近の日本の指導者層は、非常に劣化しています…。
また、暗い話になってしまいました。もう少し明るいメルマガにしたいのですが、いけませんね。顔文字もショボーン(´・ω・`) 系が多くなってしまいます…。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015/11/13号より
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