45歳以上の大規模リストラに踏み切る上場企業が拡大
ネットメディアのニュースを見ていますと、今年45歳以上を対象として大幅に希望退職を募る企業が増えており、ITから製薬業界、銀行などかなり幅広い業種でこの「希望退職ドミノ」が始まっていることがわかります。
特にその数がすごい会社が次々と話題になっています。富士通では5,000人規模の配置転換を行うとしていましたが、結果はそのうちの2,850人は早期退職、残り2,000人が配置転換ということで、結局、配置転換を強要された人材の半分以上が退職を余儀なくされている状況です。
製薬業界で強烈なのは、協和発酵キリンです。全社員4,000人の約4割、1,600人を対象として希望退職者を募っています。
結果がどうなったのかはまだ公表されていませんが、エーザイや大正製薬もあとを追うように希望退職者を募集しています。
45才以上をターゲットにした希望退職を募っている企業はほかにも旺文社、コカ・コーラグループ、日本ハム、NEC、カシオ計算機、アルペン、千趣会、光村印刷などと東証一部上場企業が名を連ねているところが目立ちます。
なぜ、ここまで45歳から上がターゲットになるのでしょうか?
40代前半は就職氷河期、その上はバブル入社で人数が多い
世代的に40代はひとくくりにされやすい状況ですが、実は40代前半はバブル完全崩壊後の就職氷河期を潜り抜けてきた人材で、実はどこの企業でも人数が少ないのが実情です。
それにくらべて90年ごろまでに入社したバブル入社組はどこの企業も採用数は非常に多く、しかもそれほど退職しないことから、ぎっしりとした人数がひしめき合っている状況です。
しかも賃金のコストが一番高くなる世代ですから、多くの企業がコストカットと組織ピラミッドの再構築の視点から「いなくなってほしい人材」になっていることはどうやら間違いのないようです。
しかしどこの企業でもホワイトカラーの事務職の場合特別履歴書に書いてもてはやされるような知見も資格も職務経験もないのが実情ですから、こうして一斉に企業から放逐された人たちが、次なる仕事をたとえ年収レベルを下げたとしても見つけることができるのかどうかは、かなり危うい状況です。
結果として仕事探しをあきらめた層が仕方なく引きこもりを余儀なくされているという見方も十分にありうるわけで、少なくともここからの中高年の引きこもりにこうした人たちが多数参入することは容易に想像できるところです。
国内では世界的に見てもRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を導入する企業が増えているようです。事前段階ではロボットやAIに仕事を取られる可能性はないとしていたはずが、実際には導入が始まると職種変換できない向きが結局退職に追い込まれているという厳しい現実もかなり多くなってきています。