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“中高年引きこもり”で片付けるのは危険。45歳以上を「使えない」と切り捨てる大企業の闇=今市太郎

人手不足は安い賃金の特定職ばかり

国内でも有効求人倍率が人手不足を背景に高まりを見せていますが、実際にホワイトカラーのサラリーマンが退職を余儀なくされて職安で次の仕事を見つけられるかと言えば、かなりのギャップがあることを強く感じます。

今、巷で人手不足が顕在化しているのは、建設・土木業界や飲食店などの従業員と非正規のアルバイトなどです。45歳以上のホワイトカラー経験者が労働移動するといっても、それらはまったく知見の異なる部分ですし、よほどプライドをかなぐり捨てなければ飲食店のアルバイトになるという可能性はありえないのが実情でしょう。建築現場で働くというのも、相当な無理があります。

まして60歳以上というと、本当にマンションの管理人や清掃員、警備員などまったく異質の仕事でも好んで行わないかぎり募集など皆無という状況で、「生涯現役」という言葉が実に浮ついたものに見えるのが現状です。

労働の需要と供給のミスマッチはまったく改善していない

人手不足が深刻だといいながら全従業員の4割を切り捨てるなどと言われると、本当にその会社は人をそれだけ雇用する必要がそもそもあったのかと疑いたくなります。

しかし、今後もこうした傾向は銀行をはじめとする金融業界でもドミノ的に発生することが考えられ、人手不足という話の中での需要と供給の大幅なギャップを感じざるを得ない状況です。

失業者数に出てこない就業をあきらめた層というのは、米国でもかなり問題になっています。日本国内でもそれが顕在化しつつあるのは当たり前で、70歳まで年金の受給がないとなれば、外に出れば金がかかるからということで、今後も高齢者の引きこもりはますます増加することは間違いない状況です。

中高年の引きこもりという括り方はまるで個々人に大きな問題があるかのようにも見えてきますが、実態はアベノミクスでもなんら成長がはかれれない経済が引き起こしている大規模な人災なのではないかと感じてなりません。

Next: ここから中高年の引きこもりはさらに激増する

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