2016年の相場はどうなるか?ゴールドマンサックスによるレポートが面白い。「さらなる円安進行がなければ利益は成長できない」「構造改革はほとんど進展していない」「日本の投資家は今も日本株に無関心である」といった弱気に対するGSの反論を見てみよう。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)
2016年の日本株に強気なGS、TOPIXは14%上昇を見込む
GSによる超強気論
ゴールドマンのレポートは「2016年の相場展望:申年も強気スタンス継続」。サブタイトルは「懐疑論者への反論:6つの理由6つのテーマ」となっている。そのさわり。
2倍近い利益増により日本株は2013年以降、先進国で最も高いパフォーマンスを示してきた。2016年も高リターンが見込まれ、TOPIXは14%上昇して1800ポイント(日経平均で22700円)に達すると見る。
- 2015年度14.1%、2016年度16.7%のEPS成長
- 2016年度予想PER14倍、PBR1.3倍と割安なバリュエーション
- コーポレートガバナンスの向上が促す持ち合い解消やM&A、過去最高の株主還元
- 構造改革の進展
- 財政/金融両面からの景気刺激策
- 国内投資家主導の買い等が株価上昇を促す
面白いのは、
- さらなる円安進行がなければ利益は成長できない
- 構造改革はほとんど進展していない
- 日本の投資家は今も日本株に無関心である
上記のような弱気に対する反論。
- 利益成長に一段の円安は必要ない
- GDPを上場企業の収益の代理とみなすべきでない
- ドル円120円~125円、実質GDp成長率は1.5%見通しだが2018年まで累計32%のEPS成長を見込んでいる
- 改革は進展(スチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコード)
など。
株主還元は過去最高、法人実効税率は低下。日本の女性の就業率は65%でアメリカの63%を超えた。訪日外国人は増加。マイナンバーの導入により課税基盤の拡大と徴税の効率性向上が見込まれる。
TPPの進展で輸出品は2倍以上に増加の可能性、コーポレートガバナンス・税制改革・ウーマノミクス・インバウンド観光・貿易自由化。
農業改革・外国人の就労機会拡大・電力規制緩和の各分野で具体的な成果があがっている。
日本株の主な買い手は2014年から国内勢に移行。事法、信託、日銀が買い越してきた。
事業法人による自社株買いは2015年度5.9兆円、2016年度7.5兆円、GPIFと3共済からは最終的に約5兆円の資金が株式市場に流入する可能性。
日銀のETF年間3兆円買いは継続方向、投信への資金流入やNISA拡大で個人資金流入。
2016年の注目テーマ
そして「2016年の注目テーマ」は、
- 景気敏感株ではインダストリアルよりも消費関連
- ヘルスケア:再生医療
- M&A
- インバウンド観光
- 小型株
- ウーマノミクス
GSは米株よりも日本株に強気な様子が見て取れようか。
フィンテック革命
市場ではフィンテックという言葉が増大してきた。フィンテック革命とも言われる。
スマートフォンやビッグデータなどの技術を使った便利な金融サービスで個人の生活や会社の取引慣行が変化していく未来を模索している。
このフィンテックとは「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた米国発の造語。フィンテックで先行する米国では、決済、送金、不正監視、口座管理などで新しいサービスが続々と登場。人工知能が資産運用に関して助言するサービスまであるという。その意味で金融はビッグデータを基に大きく変貌する可能性があると考えたいところ。これも2016年のテーマの1つになる。
『「兜町カタリスト」』(2015年12月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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