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黒田日銀の「大誤算」~マイナス金利で円高・株安が起きた真の理由=吉田繁治

FRBは2016年に4回の利上げを示唆していたが、3月利上げはなくなった

2015年12月16日にFRBが0.25%利上げしたとき、FRBは2016年に4回の利上げをすることを示唆していました。3か月に一度0.25%ずつ4回上げると1%の利上げです。この利上げが、12月の利上げのとき予定されていたのです。

ところが、FRBの12月の利上げの直後からは、米国経済の悪化と、原油価格の$30以下への下落があり(米国にとってはシェールガスのジャンク債危機になる)、16年3月に想定されていた0.25%利上げはあやしくなってきました。

加えて2016年は、年初から、(1)中国株の下落(2)原油の下落(3)FRBの利上げによる新興国からのドル引き揚げの3要素で、世界の株価が大きく下がりました。

このとき2016年3月のFRBの利上げは完全になくなり、3月の後の16年6月の利上げすら危うくなったのです。逆に利下げや、米国もマイナス金利かとも言われるようになったのです。

(※注)景気(=GDPの増加予想や失業率)が悪くなると、FRBが利下げするだろうという予想で、株が買われ上がることもあります。逆に、景気が良くなると、引き締めが行われるということから、株が売られて下がることがあります。これは、いずれにせよ、過剰流動性が引き起こす「変な現象」です。

2015年12月16日のFRBの0.25%利上げのときには、2016年の追加での1%利上げが見込まれていました。このため、外為市場では、まだ行われていない1%の利上げを織り込んだドル買いが起こっていて、それが99から100というドル指数に織り込まれていたのです。

(注)繰り返しになりますが、通貨の売買で利益を出すには、安いとき(つまり利上げ前)に買わねばならない。このため、まだ上がっていないときに買いが増えるのです。
この買いの増加により、通貨は、利上げの前に、利上げがあったかのような価格に上がります。これが「織り込み」です。

株価では、次期企業純益の増加が予想されたときか、予想がないときは発表された直後に、その純益の実現を織り込んで上がります。

ところが、2015年12月の米国の景気の悪化と、16年の年初からの株価下落で、想定されていた16年3月のFRBの利上げはなくなったのです。

このため、利上げを織り込んでいたドル価格指数(99~100)は、96に下がり、利上げを見込まないものに下がっています。

以上が、米ドル指数から見えることです。(再掲)

15年10月15日:94
15年12月 2日:100(FRBの利上げ前にドル指数は上がっていた)
15年12月16日:99(FRBの利上げ:0.25%)
16年2月8日:96(利上げ後にドル指数は下落)

こうした動きから、相場の原則を導くことができます。

相場の原則

通貨・株価では、近い将来(2か月から3か月)の市場が予想するイベントや利益、及び金利変化を想定して、現在の価格に織り込む現象が観察される。

このため実際にその時に至ると、織り込みが剥がれて、次の将来に予想されることの、異なる条件の織り込みに向かう。

現在のドル指数(上表の96)は、2016年3月にはFRBは利上げをしないという予想を織り込んだものである。万一、16年3月に利上げがあるような状況(米国の景気の急拡大)になれば、米ドルは100に向かって上がるだろう。ただし、この可能性はない。

Next: 米国、日本、ユーロの織り込み現象と日銀の「誤算」

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