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黒田日銀の「大誤算」~マイナス金利で円高・株安が起きた真の理由=吉田繁治

(2)日本の3大指標をチェックする~日銀は誤算を犯した

日本

15年12月末 16年2月1日 2月10日
ドル/円 120.5円 121.1円 114.5円
長期金利 0.25% 0.22% -0.03%
日経平均 1万8982円 1万8000円 1万5700円

まず円相場です。日銀が利下げをすれば、円の金利が減るので、普通は円安になります。

日銀は16年1月29日に、日銀当座預金の増加分に対して、-0.1%というマイナス金利を敷きました。普通の時期で、他の条件が変わらないなら、円は暴落と言っていいような下げかたをするはずです。

マイナス金利は、円の当座預金を持って入れば、円預金は減って行きますということだからです。

円売り(=ドル買い)の超過になって、円は下がるはずです。ところが、実際にマイナス金利の後に起こったのは、「ドル売り/円買い」の超過です。つまりドルを売って円を買う動きが多かった。

日銀は誤算を犯した

このため、マイナス金利への利下げにもかかわらず、逆に円高になったのです。これは、円安で株価を上げることを狙っていた日銀にとっては、大きな誤算でした。日銀は、ドルの金利が2%台なので、円をマイナス金利にすれば円安になると見ていたからです。日銀には、金融市場での「織り込み」という行動が見えていなかったのかもしれません。

マイナス金利の後に、円高になった理由

理由は、円の長期金利の下がりかた(0.22%→-0.03%=0.25%)よりも、16年3月の利上げが消えたことを予想したドルの長期金利の下がりかた(2.23%→1.75%=0.48%)が、約2倍大きかったからです。

FRBが利上げした後のドル金利の下げ方が大きいため、「円買い/ドル売り」が増えた結果が、$1=114.5円という6円(5%)の円高です。マイナス金利に下がったのに、円が買われドルが売られて円高になるという奇妙なことが起こりました。

円相場と株価が連動する理由

日本の株価は、円がドルに対して1円上がると、日経平均で300円~500くらい下げるという性格をもっています。

  • ドルに対する円高(1円)→日経平均下落(300円~500円)
  • ドルに対する円安(1円)→日経平均上昇(300円~500円)

という動きで、ほぼ例外がない。通貨の動きが先で、株価は通貨に連れて動きます。この原因は2つです。

(1)海外ファンド、ヘッジ・ファンドからの売買が、わが国株式市場の60~70%を占めていること。この外人が3000億円くらい買い越す週は株価が上がり、3000億円くらい売る週は下げること

(2)ヘッジ・ファンドの多くが、「円高→日本株売り」「円安→日本株買い」にプログラムされたHFT(高頻度取引)を使っていること

15年12月末からの、$1=120.5円から114.5円への円高(6円)に対して、日経平均は1万8982円から1万5700円へと3282円の下落です。今回、1円の円高に対し、日経平均の下落幅では547円が対応していますね。大きな対応です。

長期金利は、日銀の誘導通りの動き

長期金利は、日銀の誘導通りに、0.25%(15年12月末)から-0.03%へと0.28%下がっています。このため100万円の10年もの国債(残存期間7年)が、101万5400円に上がっていることを示しました。マイナス金利という、普通はない異常なことです。

なぜ、日銀は金利をマイナスにしたのか。

それは、原油と資源価格の下落で、物価の上昇が消えたためです。本当は、原油と資源を輸入する日本にとって、輸入価格の下落は所得の海外流出が減るので、国民経済にとってプラスです。しかし2%のインフレ目標の達成を掲げている政府・日銀にとっては不都合だからです。

(※注)本当は、インフレ目標はもう国民にとって意味がなくなっています。しかし、政府・日銀は、是が非でも行うという。遅れた政策を行っても意味はないのですが…。

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