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日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城

低所得層の糖尿病は重症化する

しかも、低所得層の糖尿病は重度で深刻なものになっていることが多いのだが、そこにも低所得層特有の理由があることが分かっている。

低所得層の糖尿病が重度になりやすいのは、健康診断を受ける余裕がないからである。また、健康診断を受けて異常が発覚しても病院に行く金や時間がない

そして、医者に生活改善を求められても、やはり経済的な理由で対処できないからだ。生活改善どころか、その後の通院すらもできない

低所得層の多くは非正規雇用者なのだが、彼らは企業にとっては使い捨て要員である。だから、彼らに健康診断を受けさせてケアさせてその費用を負担して長く働いてもらうという発想にならない。

安い賃金でギリギリまで働かせ、壊れたら使い捨てて新しい人員に入れ替える方がコスト削減になる。逆に言えば、企業に捨てられたくない非正規雇用者はなかなか休めないし、健康診断も受ける精神的余裕も経済的余裕もない。

だから、体調が悪化しても動けるのであれば無理して働き、どうしようもならなくなって医者に行くと、すでに手遅れになっている現状がある。

重篤な病気にかかって自滅していく

低所得層は満足な賃金を得られていない上に、何年働いても賃金が上がる見込みもない。長く勤めれば評価されて賃金が上がっていくというのは正社員の話であって、非正規雇用者は長く勤めても契約更新でリスタートされて終わりだ。

賃金を上げられないのであれば、仕事を掛け持ちして賃金を上げる方策がある。

しかし、そうして時間的な余裕も体力的な余裕もなくなると、食事はより簡素で適当なものになり、炭水化物漬けとならざるを得ない。そして、疲労が溜まって病気になりやすくなるのに、逆に医者に行く時間がなくなる

医者にかからないで無理をする環境と偏った食生活が長年続くことによって、最後に自滅するかのように重篤な病気になっていくのである。

健康にも「格差」が現れてきた

厚生労働省の国民健康・栄養調査では、低所得層は高所得の人に比べて肥満脳卒中およそ1.5倍発症のリスクがあるというのは、こうした複合的な理由がすべて積み重なるからだ。健康にも明確に格差が現れてきているのだ。

低所得層は病気になりやすく、病気が重篤化しやすく、経済的な理由で病気が治りにくい。

しかし、皮肉なことに、重篤化して手遅れに近い状態でも今の医学はかなり発達しているので、人間を簡単に死なせないで重篤化したまま中途半端に生きながらえさせる

Next: 飢えるのではなく、炭水化物漬けに。日本の格差はここまで来た

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