個人投資家が買い越し基調に転じる
マイナス金利が動かす「高利回り銘柄」が主役に
昨年暮れまで売り越しだった個人投資家が年明けから買い越しに転じている。昨年10月、11月、12月は3カ月連続で売り越し、3カ月合計で約1兆9300円に達していた。
年が変わった1月から一転して買い越しに転じ1月、2月と連続買い越し、合計で約4300億円となっている。直前3カ月の売り越し額に対しては約22%にとどまっており買い越しの規模としては心もとないが、多くの金融資産を保有する個人が前向きになってきたことは心強いことである。
背景には、日経平均が昨年来高値2万0952円(15年6月)から今年2月の1万4865円まで日柄で1年3カ月、下落率で約3割の下げとなるなるなど相場に対する値ごろ感がある。しかも、アベノミクスに陰りはみられるものの、安倍内閣に対する支持率は高く、アベノミクスに対する期待は続いていることがある。
とくに、「不透明感を増す世界景気情勢の中で牽引役だったアメリカに代わって日本が景気の押し上げ役として期待され注目されている」(中堅証券)という背景もある。
しかも、1月末に発表されたマイナス金利政策が個人の心理に響き始めたようである。既に、MMFファンドは募集を中止している。個人の預金はマイナスにはならないとしても利息は、あってないに等しいていど。株式マーケットには利回り3%程度の銘柄は数多くあり、個人の目が向き始めたといえるようだ。
3月期、4月期、5月期決算銘柄に月が変わるごとに高利回り銘柄の配当取りの買いが続くものとみられる。このため、超低金利が続く異常、マーケットの主役は、「好業績・高利回り銘柄」となることが予想され、材料株の「夢追い銘柄」は脇役という展開だろう。
『日刊株式投資情報新聞』2016年3月8日号より一部抜粋
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