楽天が法人向けに販売を開始した「新型コロナウイルスPCR検査キット(COVID-19 PCR)」が波紋を呼んでいる。
楽天の公式サイトによると、
「PCR検査キット」はジェネシスヘルスケアが開発し、楽天が法人窓口となって提供。1キットあたり1万4900円で、100キットから申し込める。利用者が自宅で採取し提出した検査試料をもとに新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が検出されるかどうかを検査するもので、陽性や陰性など医療的診断を提示するものではないという。
「本検査キットを用いたリスク判定は、いかなる意味でも診断や医行為を行うものではありません」という注意が記されており、すでに新型コロナウイルス感染症の症状が出ている人は使用できない。対象は20歳以上で、4月中は東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城の5都県のみ。順次提供地域を拡大していくという。
楽天は、「企業が社員を自宅待機させるかなどの判断する際の参考にしてほしい」としているが、この検査キットについて日本医師会は22日、「社員が出勤できるかどうかの判断に使うと大きな誤りが出る」と懸念を示した(産経新聞)。
NHKによると、日本医師会の釜萢敏常任理事は記者会見で「検体の採取は、専門家が正確に行うことが必要で、自分で行うと検査結果も信頼できなくなる。この検査キットの結果を持って医療機関に来られても、どのように対応すべきか難しい」と指摘。また「検体の採取には感染の危険があり、きちんとした環境で行わないと、家族など周りの人に感染を拡大させるおそれがある。この検査キットを使うことには非常に大きな問題がある」と述べたという。
これについてネットでは、楽天に対する反発の声が続々と投稿されている。「忙しい医師会の仕事を増やした楽天は許せないので、絶対使わないです」などと検査を行うことで医療機関に無症状者が殺到することに懸念を示す声や、「感染の観点からも危険でしかないことわかりきってるのに、お金の為なら汚いことを平気でする企業ってわかった」と医療行為に酷似した検査をビジネスとして行うことへの不快感を示す声、「この検査で陰性となれば出社させるようなブラック企業が増えない事を祈りたい」と陰性を理由に社員を出社させる企業が出てくるのではないかという不安の声などがあがっている。
また、「長いこと楽天カードを使って来たけど、解約しようか真剣に検討中。さすがに今回の件は、医療に携わるものとしては許すことのできない行為。何のためにPMDAが死ぬほど働いて許認可出してるのか。メーカー側が大変な思いをして申請データや資料を準備してるのか。それら全てを踏みにじったのは許せないな」などと、PCR検査キットの販売に対する反対意思を、楽天カードを解約することで示そうとする人たちもいるようだ。
学生さんの間で、楽天カード解約運動が起きている、という話を聞いて、驚いている。PCR検査キット販売に対する意思表明。若者たち、たいしたものですね
— 松永 和紀 (@waki1711) April 22, 2020
一方で、「(日本医師会が)既得権益を守りたいがための発言に聞こえる。1キット1万4900円で100キットからだから個人で買う人はいない。ほしい法人は、いるのかもしれない。法律に触れないならかまわないと思う」と楽天を擁護する声もあがっている。楽天の公式サイトにも「大変多くのお申込みをいただいており、順次ご対応をさせていただいております」と記載されており、企業からのニーズは高いようだ。
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