岸田首相が唱える「新しい資本主義」がいったい何を意図しているのかまったくわからないので、岸田首相に影響を与えた原丈人氏の書籍を読んでみました。しかしながら読後も、なぜ「金融課税の強化」「分配の重視」という政策が生まれたのかまったくわかりません。本当に岸田首相は「新しい資本主義」を理解できているのでしょうか?(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年2月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
『新しい資本主義』を読んでみた
岸田さんが「新しい資本主義」という言葉を使ったときに、何を定義してこういうことを言っているのか、さっぱり理解できませんでした。
その知恵袋と呼ばれている原丈人さんの書籍『新しい資本主義 希望の大国・日本の可能性』(刊:PHP新書)を2時間程度で読みました。
感想は、内容は示唆に富んでいて素晴らしいものだな、と思います。いろいろ考えさせられる部分もあり、そして勉強になりました。
しかし、現実的にこんなことできるかな、と思うこともあります。
「Uber」は単なる搾取企業とも言える
たとえば、私はテスラという会社が嫌いなのですが、同時にアップルという会社についても「何、この会社」と思う部分があります。
それは、かんたんな話、両社とも100円のものを1万円で売る商売をしているからです。これが立派なビジネスモデルと言っているアメリカや今の現実社会がおかしい、と思っています。
これ、悪い言葉で日本語にすると、単なる「詐欺」「ぼったくり」ですよね。商売というものは、できるだけ安くて良いものをみなさんに提供し、そこから利益を得るものだと私は思っています。
できるだけコストを掛けずに、大きく利益を取るって、単なる身勝手な奴じゃん、と思います。
そこからUberの労働問題、要するにUberは単なる搾取会社ということ、ユニクロの強制労働問題などが派生しているのです。
利益を最大化することが「善」であり、そこで搾取するのは社会的に排除しなければいけない、というのに違和感を覚えます。
真っ先に排除しなければいけないのは、アメリカのUberという会社の搾取問題であり、これが富める者がますます富み、貧しい人は無限ループの象徴的な企業だと思うのです。
コンゴ(IT・EVなどの次世代産業に必須であるコバルトの最大の産地)でも強制労働撤廃に向けた国際的な取り組みがあって、素晴らしいものだと思いますが、中国がやっていることの方が現地の方は喜んでいるのではないか、と思うことは多々あります。欧米はこれをやることによって満足感を得ているのですが、何か違和感を覚えるのは私だけではないでしょう。