金融と経済の完全なデジタル化をする壮大な動きが存在する。この結果、2025年から2030年の期間で既存の金融システムと経済は完全にデジタル化し、現在の金融・経済システムが本質的に変化する可能性が高い。我々の生活も根本から変化することだろう。そこで今回から金融・経済のデジタル化がどのように進行しているのか、シリーズで紹介する。第1回目の今回は、国際決済システムのデジタル化である。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2025年9月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
2025年から始まった金融と経済のデジタル化
2025年から始まった金融と経済の完全なデジタル化の動きについて解説したい。
2030年までにはこの新しいシステムは完成し、証券や債権、また不動産やアートなどを含む、あらゆる資産がトークン化(デジタル化)される状況に移行することになる。これで、既存の金融と経済のシステムは本質的に変化することになる。
すでにこの変革は始まっている。そこで今回からシリーズとして、金融と経済の各分野を順次取り上げ、デジタル化のリアルな状況を報告する。進展するデジタル化の動きを見ると、どの暗号通貨がこれから爆上げするのかはっきりと見えてくるはずだ。
順次取り上げる分野は以下だ。
- 国際決済システム
- 企業間の送金システム
- 中央銀行デジタル通貨とデジタル化のインフラ
- 現物資産のトークン化(デジタル化)
- スマートコントラクトのプラットフォーム
- サプライチェーンのトークン化(デジタル化)
- IoT(もののインターネット)のトークン化
- 分散型金融とトークン
- デジタルアイデンディティー
- ゲーム産業とメタバースのトークン化
- AIとデータ経済
- 統合的決済システム、XRP,QNT,HBART,ALGOなど
- まだ評価されていない有望な暗号通貨
- 2030年までのタイムライン
このようなシリーズになる。それぞれの項目で有望な暗号通貨が紹介されるので、投資に関心のある人もぜひ読んでほしい。
国際決済システム
今回はシリーズの第1回として、国際決済システムを取り上げる。前回の記事では、金融業界向けの国際標準メッセージング規格であるISO 20022を紹介した。これは、国際決済のメッセージングサービスであるSWIFTによって使用される。この記事の内容と重なる部分が多いが、重要なので国際決済の基本から取り上げる。
<SWIFTの欠陥>
国際決済は金融システムの根幹をなすシステムであり、何十年もの間、破綻したままだった。遅くてコストがかかり、SWIFTのような時代遅れのシステムに依存しているこの分野は、イノベーションを求めて悲鳴を上げてきた。ちなみにSWIFTはメッセージング・システムであり、資金そのものを移動するものではない。これには以下の問題がある。
・決済には国境を越えて2~5日かかる。
・外国為替手数料、銀行仲介業者への手数料がかかり、不正のリスクもある。
・銀行は全世界の口座に事前に資金を供給しなければならず、何兆ドルもの遊休資本を抱えることになる。
そこに登場したのがブロックチェーンだ。国際決済の分野は、ブロックチェーンが大規模に解決し始めた最初の現実の問題であり、変革は今まさに起こっている。
すでに使われている暗号通貨
このような状況の中、SWIFTの代替を目指すシステムがすでに開発されている。それは以下だ。
<1. リップル(Ripple)のソリューション>
SWIFTの直接的な代替を目指し、最も積極的に金融機関との連携を進めているのが、リップル社が提供するソリューションだ。
- 使用される暗号通貨
XRP
<システムの仕組みと特徴>
リップル社は、金融機関が国際送金を行うためのネットワーク「RippleNet」を提供している。以前は用途に応じて3つのプロダクトがあったが、現在は機能が統合されている。特に「xRapid」で使われていたのがXRPだ。
- オンデマンド流動性(ODL / 旧xRapid)
- XRPの役割
- 処理の流れ
- 利点
これは、従来の国際送金で必要だった、送金元銀行が送金先通貨を事前に確保しておく「ノストロ/ボストロ口座」への資金預け入れ(流動性確保)を不要にする仕組みだ。
送金元通貨と送金先通貨を瞬時につなぐブリッジ通貨(橋渡し通貨)として機能する。
送金元銀行が自国通貨でXRPを購入する。そのXRPがほぼ瞬時にXRP Ledger (XRPL) 上を移動し、送金先の市場で目的の通貨に両替される。送金先の銀行は両替された通貨を受取人に支払う。
送金にかかる時間が数秒に短縮され、流動性コスト(事前に外貨を確保しておくコスト)が大幅に削減される。
<xCurrent(現RippleNetの主要機能)>
- 特徴
- 目標
XRPを使わずに、メッセージングと決済をリアルタイムで行うソリューションだ。SWIFTと同じくコルレス銀行を経由するが、ブロックチェーン技術を使って取引の透明性とスピードを高める。
リップル社の最終的な目標は、XRPをブリッジ通貨として使う金融機関に広く採用してもらい、国際送金の標準を置き換えることにある。







