■中期経営計画
ブロードエンタープライズ<4415>は2024年2月策定の中期経営計画において、「ファイナンススキームの強みを生かし、ターゲットと市場を拡大し、地方創生・活性化への貢献」を掲げている。「既存事業の着実なシェア拡大」と「新規事業の創出」を推進しながら、M&Aも視野に入れた「新規事業領域への挑戦」によって企業価値を向上させる考えだ。2026年12月期の当初目標は売上高7,480百万円、営業利益1,480百万円、経常利益1,000百万円としていたが、「BRO-ROOM」「BRO-WALL」の急成長により、最新の見通しでは売上高10,000百万円、営業利益1,700百万円、経常利益1,100百万円へと大幅に上方修正した。
1. 地方創生
観光需要がありながら宿泊施設が不足し、滞在型観光になっていない課題を持つ自治体に対し、「BRO-ZERO」を用いた空き家の利活用を提案している。現在は、人気アニメ作品の原作者ゆかりの地として知られる鳥取県北栄町や北海道浜中町など、全国16市町村と具体的な折衝を進めており、自社による宿泊運営の受託を通じてフロー及びストック両面での収益獲得を図る。
2. M&A戦略の推進
事業シナジーを前提に、特定の業種に絞った積極的なM&Aを展開する。具体的には、内装リフォームや大規模修繕を担う内装・外装工事領域、宿泊運営代行や管理会社、買取再販を担う不動産運用領域をターゲットとしている。これにより、顧客基盤の拡大やノウハウ吸収に加え、工事の内製化によるコスト削減及びストック売上の拡大を狙う。進捗状況としては、金融機関等のネットワーク活用に加え、既に相当数の候補先を検討し複数のトップ面談を実施するなど、スピード感を持って案件パイプラインを精査している。
3. 米国マーケットへのアプローチ
同社は、古い建物に価値を見出す文化が根付く一方で、経年劣化による定期的なリフォーム需要が極めて大きい米国市場に着目している。英語圏での展開の容易性や、NASDAQ等を通じた資本市場へのアクセスを背景に、海外版「BRO-ZERO」を投入する。2026年の基盤構築及び2027年のテストマーケティングを経て、2028年の本格展開による売上創出を目指す。
4. 成長の軸となる「BRO-ZERO」
今後の成長イメージの核は、「BRO-ZERO」による事業領域の拡大である。特に、遊休不動産を活用した宿泊・民泊事業はインバウンド需要の拡大により機会が広がっているものの、融資の困難さから事業化を断念するケースが少なくない。これらの資金調達課題を解決し、空き家の活性化及び宿泊施設不足という社会ニーズに応える。これにより、ターゲットを従来の賃貸マンション市場から住宅市場全域へと拡大し、非連続な成長を実現する戦略である。
■株主還元策
2026年12月期より配当開始を見込む
同社はこれまで、企業価値の向上を目指して財務体質の強化と事業拡大のための投資を優先し、配当は実施していなかった。しかし、事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視するという観点から、資本の状況、業績動向、同社株価の水準、成長投資機会、資本効率向上等を考慮し、税引後当期純利益500百万円を達成したタイミングで配当性向20%での配当開始を計画している。2026年12月期は同利益が650百万円を見込んでいるため、配当が開始される見通しである。この税引後当期純利益から算出した1株当たり配当金は21.16円となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む