・酉島製作所<6363>は1919年創業の老舗ポンプ専業メーカーであり、上下水道、発電所、海水淡水化施設などの社会インフラを支える大型・高圧ポンプに強みを有する。造水量世界トップ20の海水淡水化プラントのほぼすべてにポンプを納入し、海水淡水化プラント向けポンプでグローバルニッチトップ(GNT)企業となっている。
・2026年3月期第3四半期(3Q)決算における受注高は前年同期比13億円増の766億円と堅調。売上高は前年同期比8.7%増の648.9億円、営業利益は同39.6%減の16.9億円。官需・民需・海外(主に中東、北米)・子会社とも好調だったが、相対的に利益水準の低いハイテクポンプ比率が高く、外注費の増加を伴う案件が増えた影響は、増収分14.0億円に対して16.9億円。その他、増員や賃上げ分8.7億円も減益要因となった。
・通期予想は売上高で事前予想比変わらず890.0億円(前期比2.9%増)、営業利益で同9.0億円減の58.0億円(同6.4%増)へ2Q決算時点で修正されている。内作比率を上げ、外注費を削減することで製造コストを下げる取り組みを着実に実行しているものの、その結果が損益に寄与するのは翌期以降となる見込み。増収増益は維持されている。3Q決算を経て、通期予想に変更なし。
・2026年2月10日には住友重機械工業より新日本造機の株式100%を取得することに合意。新日本造機は、石油化学分野を主軸に蒸気タービンおよびポンプの設計・製造からアフターサービスを展開する、世界屈指の技術力を持つメーカーとなる。信頼性と実績が最優先されるエネルギー市場において、新日本造機の世界的なブランド力は強力な武器であり、同社のポンプ販売網へのクロスセルが可能となる。水市場に加え、成長余力の大きいオイル&ガス分野への参入加速が期待される。蒸気タービンは法廷点検が義務付けられており、極めて安定した高収益のアフターサービス需要も見込めよう。
・2Q決算後に株価は調整していたが、割安感や中長期の業績方向性に大きな変化がなく、昨年来高値圏にある。2029年度に向けて「売上高1,000億円規模(CAGR6.5%以上、営業利益率10.0%以上、ROE10.0%以上」が目標となる。
・グローバルな水インフラ需要を背景に、新中計での営業利益CAGRは今期予想比で+14.6%以上。中計最終年度のPERで15倍の評価となれば、同社の時価総額は現状から約2割上方となる900億円程度、プライム上場企業の足もと平均PERである18.5倍であれば約4.5割上方となる1,110億円が見込まれる。
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