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システムインテグレータ、来期も成長継続 事業ポートフォリオ拡充で中長期の収益基盤強化、AI事業の早期黒字化を目指す

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2026年4月23日に開催された、株式会社システムインテグレータ2026年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

Agenda

引屋敷智氏(以下、引屋敷):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の引屋敷です。本日はありがとうございます。2026年2月期の決算説明会を始めます。

本日の内容は、2026年度および2027年度の2年経営計画を踏まえ、将来のビジョンについてもお話しします。アジェンダは、スライドをご覧ください。

エグゼクティブサマリー

エグゼクティブサマリーです。今期は利益成長の転換点となり、AIが活用される場面が増加しました。

当社では、以前からエンジニアを採用し、その人材育成がどのように数字に影響を与えるかを継続的にお伝えしてきました。今年は、そのような構造的な取り組みが数字に反映され始めた最初の年だと考えています。

粗利および営業利益についても、構造的な改善が少しずつ進んでいる手応えを感じています。

当社の事業の中核を占めているERP事業において、主力プロダクトである「GRANDIT」の売上が全体の6割強を占めていますが、この依存度をポートフォリオとして分散化していきます。

当社は業務系ERP事業を得意としていますが、それに加えてターゲットとなる業種、業界、業態を分散化し、製造業特化型の「mcframe」、さらにグローバル展開が可能な「SAP」といったソリューションによるポートフォリオの多軸化を進めた初年度となります。

「mcframe」「SAP」は「GRANDIT」と比較すると、まだまだ小さい規模です。今後、これら2つを大きな比率である「GRANDIT」にぶつけていく、その開始となる年でもありました。

みなさまご存じのとおり、AIは日々技術が進化を遂げ、新しいものが次々と生まれています。その技術を活用し、当社はエンタープライズ向け、特に製造業の業務改革に向けたソリューションを開発しています。

その中で、1つの新たなプロジェクトを今期に立ち上げ、来期以降、収益化フェーズに入ります。また、外向けの販売商材としてだけでなく、「GRANDIT」をはじめとする業務系システムをお客さまに導入・開発する業務において、当社内部での活用も進んできています。

このような取り組みも、生産性向上や利益率向上のための1つの手段になると考えています。

2026年2月期実績 ― 利益成長の転換点

2026年2月期の実績です。当社では、売上が20パーセントや30パーセントといった大幅な伸びはありません。ERPというお客さまの基幹システムがあり、多くのシステムを抱えて運用を継続的に監督することが難しいためです。

そのため、当社は一人ひとりのお客さまを大切にし、長くお付き合いいただけることを目指しています。その中で、「GRANDIT」以外の2つのポートフォリオ、「mcframe」と「SAP」をメインに進めていきます。

ERP事業の多軸化とは、「GRANDIT」の比率を徐々に下げるということです。「GRANDIT」を減らすという意味ではなく、「mcframe」と「SAP」、あるいはそれ以外の業務系システムの事業規模をさらに拡大していくことを示しています。

将来的には、「GRANDIT」に匹敵する10億円や20億円規模の事業へと成長させていきたいと考えています。

ストックビジネスについてです。ERP事業で安定した収益を上げ、その収益を新規事業や自社のパッケージビジネスに投資していきます。その中でストック収益を積み上げていきます。この比率を徐々に上げ、2032年には約50パーセントにすることを目標としています。

私どもはソフトウェア産業であり、エンジニアを擁しています。エンジニアは、人そのものが生産の武器であるため、一人ひとりの労働生産性を向上させることが重要です。当社では、時間当たりで各エンジニアがどれだけ稼げたかを1つのKPIとして計測しています。

スライド右上のグラフは、時間当たりの売上を示しています。これには、さまざまな要因が影響しています。例えば、技術的に優れているため、迅速に製品を仕上げられることです。今後はAIを活用することで、同じ製品を短い時間で仕上げることが可能になると考えています。

外注をうまく活用し、レバレッジを効かせることも検討しています。いずれにしても、私たち一人ひとりの生産性や付加価値を向上させることをKPIとしています。

このような取り組みを1つずつ積み上げていく中で、今後はAIを最大限に活用することで、粗利率とともに営業利益率も向上していくと確信しています。

営業利益については、営業活動、それにバックエンドの業務にもAIを最大限に活用して効率性を高める取り組みを行っており、これによりさらなる向上が期待されます。

2027年2月期予想(1/2)― 事業ポートフォリオの転換

スライドは、事業ポートフォリオを示しています。現時点で主力として大きいのは、「GRANDIT」の事業です。この事業については、売上の拡大を目指すというよりも、AIや個人のスキル・知識を向上させて粗利益を大きくし、高付加価値の事業へと転換していく方針です。

「mcframe」や「SAP」、また新しいERPを多軸化して成長させ、これら3つを柱として大きな事業体を構築していくことを計画しています。

すでに利益率が非常に高い「Object Browser」やプロジェクト管理といったSaaS型ビジネスについては、お客さまを増やすことで安定した収益源として支えていきます。

これらの収益はAIを活用した新規事業に積極的に投資し、早期黒字化を目指すことで、付加価値の高い事業へと成長させていきたいと考えています。

「GRANDIT」に依存した事業構造をERP領域の中で再構築し、それを新たな事業へ積極的に投資することで、新たな成果を生み出す好循環を作り上げていきたいと考えています。

2027年2月期予想(2/2)― 継続的な増収増益

当社は2年計画として、2027年と2028年を新たな経営計画期間としています。来期に売上高は63億円、営業利益は7億円を目指したいと考えています。

株主さまへの還元については、2026年2月期の配当が13円、来期の予想が11円となります。減配という見え方になりますが、今期は新しく設立した会社の持分変動利益が計上されました。それに伴い、配当性向30パーセントの配当金額が13円となっています。

配当政策については、新たにどのように株主さまへ還元していくかを検討しています。30パーセントを下限とし、累進配当の制度を導入するなど、どのように還元していくかを、来期中に新たな方針としてお示ししたいと考えています。

長期ビジョンと成長戦略

成長戦略についてです。当社は、前々期に掲げた事業ドメインを集中させる方針に基づき、ERP事業は業務系、Object Browser事業はツール系、そしてAI事業を加えた3つを軸に、ドメインを集中しています。

ERP事業に関しては、大きな市場規模を有しています。数年前からDXと言われていますが、日本には古いシステムが多く残っています。その入れ替えに伴い、ERPへの期待やニーズが非常に高まっています。そのため、今後数年間は依然として強い市場であり続けると考えています。

Object Browser事業に関しては、AIの普及により、データの重要性が一層増しています。このデータをどのように構造化し、管理していくかという中で、当社が提供するデータベース開発や運用ツールが非常に活用されると考えています。

市場規模は7,000億円とされていますが、AIがより汎用的に活用されるようになることで、この市場はさらに拡大していくのではないかと考えています。

AI事業に関して、当社はこれまで8年間、異常検知の外観検査事業に取り組んできましたが、力不足もあり、黒字化を実現できなかったため、昨年10月に事業から撤退しました。

一部の既存のお客さまには引き続きご利用いただくことも検討していますが、新たにAIを活用した検図作業の自動化事業を開始しています。昨年度サービスをリリースしており、すでに本番導入が1社、さらにPoC(概念実証)が5社から6社と、大手企業を中心に開始しています。

非常に関心を持たれている状況です。当社が狙った事業領域というよりも、AI技術の進歩によって、お客さま側でのAIに対する理解や認知が変わりつつあることが背景にあるかもしれません。

ターゲット企業数は約7,000社と想定しています。日本の製造業や機械・電気・精密機器、輸送業界など、設計作業を行いながらも社内で運用し、さらに当社の価格設定でコスト捻出が見込める規模の企業さまをターゲットとしています。

私どもは、ERPやデータベースといった基盤事業を展開しており、お客さまの中でも非常に重要な業務領域で高い付加価値を提供できる点が強みです。

そのため、ERP事業を多面的に展開し、お客さまのニーズに基づいた提案をどのように進められるかを模索しながら、さらに取り組みを進めていきたいと考えています。

新規事業としては、AIの活用を含め、これからは経営をどのように動かすかという点が重要になると見ています。このような背景の中で、新規事業の一環として、EPM、いわゆる企業経営管理ツールを新規事業として進めています。

手元に資金がありますので、事業ドメイン内で適切な提携先が見つかれば、積極的に投資を行いたいと考えています。

私どもは、2033年2月期に売上高120億円を目指しています。それに伴い、営業利益率を17パーセントにすることを目標としていますが、さらに高めて20パーセント程度を目指していきたいと考えています。

競争優位の根拠

私どもの競争優位性についてです。現在、AIの進展により「SaaSの死(SaaS is dead)」といった言葉も使われています。

私どもは、非常に地味ですが、ERPという非常にレガシーで、ある意味、複雑かつ重たいシステムをメインの事業としています。この領域は、AIに置き換わりづらく、AIで自動的にコーディングすることもまだ難しい分野です。

当社の強みは、上流工程で大きなプロジェクトをまとめていくことにあります。このような競争優位性を活かしながら、今後も市場の課題に取り組み、ビジネスチャンスをつかんでいきたいと考えています。

当社では、全社員280名のうち約210名がERPやプロジェクト管理のシステムに従事しており、ほぼ全員が業務系の領域に携わっています。これらのノウハウや知識を活かし、生産、工事、原価、プロジェクト管理といった分野で自社製品を開発できる力を持っています。

業務系システムである「GRANDIT」は200社、「OBPM」は300社で利用されています。「GRANDIT」はメーカー全体でカウントすると1,500社において、私どもの生産管理、工事、原価などのシステムが活用されています。

AIやデータベースの技術に関して、AIについては外観検査の事業では失敗しましたが、全社的な取り組みとして2018年から少しずつ進めてきました。特にこの3年間は、「AIファースト」を経営方針の一環として掲げ、全社員がAIを活用できる環境作りに取り組んでいます。

「Object Browser」はデータベース管理ツールであり、全国2万1,000社で採用されています。ほぼすべてのデータベースを導入している企業でご利用いただいていると言えるほどのデファクトスタンダード製品です。

このような強みを活かし、今後はお客さまのソリューションや本当の課題を見つけ、それを解決していきたいと考えています。

AI・新規事業の収益化ロードマップ

私どもが現在取り組んでいるAIと新規事業についてお話しします。これまで新規事業を立ち上げても、なかなか黒字化しないという課題があり、多くの失敗を経験してきました。

これまでは思いついたものを作成してきましたが、今後は業務系、ツール、AIの掛け合わせに注力し、このドメイン以外のものには投資しない方針を決めました。

今取り組んでいるのは、プロジェクト管理研修です。これは「OBPM」という既存事業の延長線上に位置しています。

EPMの経営管理ツールや検図AIについても取り組んでいます。これまでSCM、つまりサプライチェーンの領域ではERPを活用してきましたが、設計領域における業務改善の提案は難しい状況でした。

しかし、当社には多くの製造業のお客さまがいらっしゃることから、設計領域とサプライチェーン領域を結び付ける業務システムの構築を目指し、AIを活用した設計Hub-AIという新規事業を研究開発しています。

これらの取り組みを通じて、新たな数字や業績への貢献を果たしていきたいと考えています。

スライド下部の図は、クロスセルに関する内容です。「GRANDIT」やプロジェクト管理は、これまで中堅企業を主な対象としていました。一方で、新たに始めた「mcframe」「SAP」「Asprova」といった周辺システムは、大企業向けに展開しています。

EPMや検図AI、設計Hub-AIについても実施してみた結果、大企業からの引き合いが非常に強いことがわかり、中堅企業と大企業の両方を対象とする製品群となっています。このような状況から、社内の双方の商品をお互いの顧客に紹介し合うことが可能となりました。

その結果、「ここに行ったらこれを紹介してこい」という単なる営業活動ではなく、これらを準備してアカウントとして組み込むことで、必然的にクロスセルの活動を実現できるようになってきたと感じています。

成長投資と株主還元の両立

成長投資について、当社が計画している内容をお伝えします。これまでは「お金を溜め込むのがよい」という考えもありましたが、株主のみなさまからお預かりした資金をさらに大きな価値に変えていきたいと考えています。

具体的には、新しい製品を自社で開発・増強していくための製品投資と、従業員が楽しく働ける環境を整えるための環境投資があります。

採用について、当社は年間で新卒社員を10名から20名、キャリア採用を30名から40名程度行っています。これらの採用活動を継続する一方で、すでに教育され、ノウハウやスキルを有する企業と提携しながら進めていくことも非常に有効な手段だと考えています。

今期3月に大阪の生産管理に特化した会社を買収しました。この会社は、当社がERPとしてターゲットにしている製造業に100パーセントマッチする企業です。来期から来々期にかけて、当社の事業へエンジニアを少しずつ配置し、シナジーを高める取り組みをすでに始めています。

還元に関しては、株主さまや従業員への還元を投資計画として掲げており、常にシミュレーションを重ねながら決定していく方針です。

スライドに「中長期的に」と記載していますが、今後2年から3年の間に累進配当を設定し、配当性向を35パーセント、40パーセントへと段階的に高めていきたいと考えています。

その中で、内部留保も「こういう目的で内部留保している」という方針を明確に定めつつ、成長投資や還元投資といった分野に資金を回していきたいと考えています。

人的資本経営

昨今、人的資本経営が注目されています。当社は長期ビジョンとして、売上高120億円、営業利益20億円を目指しています。一方で、資本をいかに効率的に回すかを考え、資本効率(ROIC)を常に意識しながら経営を進めていきたいと考えています。

その中でも、私どもは人材を最大の武器と位置付けており、「AIの時代にどういう働き方をして、どういう人材を育てていくか」という方針を掲げています。

今期から「AIファースト」「AIネイティブ」として、あらゆる業務においてAIを活用し、AIによる効率性や生産性を意識した仕事や経営を進めています。

その実現には、教育にAIを取り込むこと、さらにAIで業務を推進できる仕組みを構築していくことが重要です。このため、私どもはAI活用に向けた仕組み作りや、それに適応できる人材の教育に積極的に投資していきます。また、それに見合った教育制度も整備していく所存です。

これによって、冒頭でお伝えした一人当たりの生産性を確実に向上させることが可能になると考えています。

Appendix:2027年2月期 業績予想・配当予想(連結)

Appendixです。スライドは、当社の予想と今期の業績です。売上高は今期約55億円に対し、来期は連結で63億円と約13パーセントの成長を見込んでいます。今後も、おおむね10パーセントから13パーセント程度の成長で推移していくと考えています。

営業利益については、今期は約6億円、来期は7億円を見込んでいます。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、関連会社の持分変動利益の計上があったため、2026年2月期は若干高めになっていますが、2027年2月期は4億円を予想しています。

一株当たり配当金は今期の13円から11円に減配となっていますが、今期は特別利益の計上が影響しています。配当政策が決まり次第、みなさまにあらためてお知らせしていきます。

質疑応答:「SAP」の進捗状況について

司会者:「『SAP』の2号案件の進捗状況について教えてください」というご質問です。

引屋敷:「SAP」については、現在複数の案件が進捗中です。具体的には、経理系のグローバル導入プロジェクトと、製造業の販売系から生産管理、会計に関連するプロジェクトがあり、現在プレ要件定義を行っています。また、3件目のプロジェクトも始動したところです。

質疑応答:プロセス系などの案件の進捗について

司会者:「製造業の中でも、プロセス系などの案件の進捗に関して教えてください」というご質問です。

引屋敷:基本的にプロセス系の製造業に関しては、「mcframe」ですべて対応する予定です。そのため、「mcframe」の案件は、今期の下期から要員の育成が完了し、本格的に開始しました。1号目の案件については、4月から要件定義を始めたところです。

「mcframe」の案件に関しては引き合いが非常に多い状況ですが、現段階では対応できるリソースの規模に達していません。そのため、来期9月以降に2件目の案件を進めていく予定です。

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