長期投資で資産を増やしたいなら、むしろ「何もしない」ことが最大の戦略になる。VOOやVTIといったETFを保有しているなら、あとは売らずに持ち続けるだけでいい。それなのに、多くの個人投資家は3年も経たずに売ってしまう。毎日チャートを確認し、ニュースに反応し、専門家の声に動かされ、自分で複利を断ち切ってしまうのだ。(『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
「どれだけ長く」手元に置いておけるか
長期投資家は、自分に利益をもたらす株式やETFをしっかりと保有しておく必要がある。たとえば、S&P500連動型ETF【VOO】、全米株式ETF【VTI】などを持っているのであれば、それを「どれだけ長く」手元に置いておけるのか が重要になっていく。
買って保有するというのは簡単なように見えるが、意に反してそれほど簡単なことではない。それは、個人投資家の多くが投資信託の保有期間が、「たった」3年程度であるのを見ても分かる。
なぜ3年なのかというと、3年もあれば本当にあきれるほどいろんな出来事が起こるからだ。景気について不穏な話もある。政治も混乱する。どこかで戦争が起きて世の中がおかしくなることもある。
あるいは、金利が上昇することもある。個別企業やセクターに大きな変調が訪れることもある。10%以上の暴落もしばしばやってくる。何か問題が起こるたびに、識者や専門家やメディアが「大暴落がくる」みたいな話を煽り立てる。
要するに、たった3年でも長期保有を揺るがす問題が次々と起こる。
長期投資で成功するためには、市場の暴落にも耐え、日々の値動きにも一喜一憂せず、ひたすら保有しつづける胆力が問われる。ところが、多くの個人投資家は外界の混乱に巻き込まれて売ってしまうのだ。
そもそも、【VOO】や【VTI】のようなETFは、数十年単位の経済成長を取り込むために設計されている。10年、20年、30年と持ちつづけてこそ、複利の恩恵が雪だるま式にふくらんでいくものだ。

VANGUARD S&P 500 ETF <VOO> 月足(SBI証券提供)

VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF <VTI> 月足(SBI証券提供)
途中で売却すれば、その時点で複利は断ち切られ、ふたたびゼロから積み上げなおすことになる。それでも、多くの個人投資家は3年も経たずに長期保有すべき銘柄を売り飛ばしてしまい、資産増大マシーンを台無しにしてしまう。
おそらく、頭が良くて、バイタリティがあって、研究熱心で、情報通の人ほど長期保有は難しいのではないかと個人的に思っている。なぜなら、そういう人ほど先が見通せて、憂慮すべき事態になりそうならば「対処した方がいい」と思うからだ。それが、逆に仇となる。
どうすればいいのか?
株価もチャートも「チェックしない」のが有効
優れた資産は、売らずに持ち続けるだけで、勝手に富を生み出していく。もし【VOO】や【VTI】のようなETF、あるいはコカコーラ【KO】やペプシコ【PEP】などを保有しているのであれば、あとは「どれだけ長く保有できるのか」の勝負となる。
とすれば、長期保有の場合は戦略的に「忘れる」ことも重要なのではないか。
長期投資家なのに、毎日【VOO】や【VTI】の価格やチャートを確認する投資家もいる。そういうのはむしろ有害ではないかと私は憂慮している。人間の心理はもろい。誰でも「見てしまったもの」にメンタルが左右される。
たとえば、【VOO】【VTI】のチャートが下落をしていて、ニュースを見たら政治や経済が問題あることが報道されていて、専門家が「いよいよ暴落か」みたいな話をしていたら、確定的ではないにしても動揺してしまう人は多いだろう。