■要約
タナベコンサルティンググループ<9644>並びに主要事業会社である(株)タナベコンサルティングは、創業69年目となる日本の経営コンサルティングのパイオニアである。中堅企業を中心とした大企業から中規模企業のトップマネジメント(経営者層)を主要顧客とする「トップマネジメントアプローチ」で、経営戦略の策定からDXによる現場での経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援するチームコンサルティングを提供している。このチームコンサルティングにおいては、顧客企業が抱える個別の経営課題に応じて、「業種」特性・「戦略」課題・「地域」特性(国内外)の観点から複数名の最適な専門コンサルタントを選定し、チームを組成する。経営コンサルティング領域としては、トップマネジメントに不可欠な経営技術やテクノロジーという観点で、現在は「ストラテジー&ドメイン」「デジタル・DX」「HR」「ファイナンス・M&A」「ブランド&PR」の5つの領域を展開しており、顧客企業の企業価値向上に向けて幅広く支援している。
2019年以降はM&A戦略を推進し、経営コンサルティング領域の多角化・拡大とプロフェッショナルDXサービス(現場の実行支援におけるデジタル技術を駆使したサービスメニュー)の強化を進めている。具体的には、2019年にBtoB企業向けにデジタルマーケティングを提供する(株)リーディング・ソリューション、2021年にクロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門のBPR/DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ(株)とブランディングやCXデザインを提供する(株)ジェイスリー、2023年に国内外で戦略PRコンサルティングを提供する(株)カーツメディアワークス、2024年に女性チームが顧客創造支援や組織・人材育成(DE&I)支援を提供する(株)Surpass、2025年にEAP(従業員支援プログラム)のパイオニアとして従業員の健康や職場環境の向上を支援するピースマインド(株)をグループ会社化している。
同社は、「トップマネジメントアプローチ」「チームコンサルティング」「一気通貫の支援モデル」という3つのスタイルにより、顧客企業の経営全体を診る伴走支援を続けている。こうした取り組みにより、「顧客以上に顧客を知る」存在となり、それがさらなるコンサルティング品質の高度化につながっている。また、顧客企業側としても、同社の伴走支援が経営活動に深く組み込まれることで他社サービスへの切り替えが生じにくく、安定的な取引継続につながっている。こうした関係性の積み重ねにより、同社は顧客企業との数十年にも及ぶ取引継続を多数実現できており、これが同社の安定収益の基盤となっている。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比12.0%増の16,282百万円、営業利益で同20.9%増の1,813百万円と会社計画(売上高16,000百万円、営業利益1,800百万円)を上回り、2期連続で過去最高業績を更新した。売上高ではすべての経営コンサルティング領域で増収を達成し、利益面でも増収効果と高付加価値案件の増加等による売上総利益率の改善で、人件費やその他販管費の増加を吸収した。営業利益率も11.1%と連結決算を開始した2020年3月期以降で過去最高を更新し、ここ数年取り組んできたM&Aを活用した経営コンサルティング領域の多角化と専門性の強化が業績拡大に寄与したとみられる。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比5.6%増の17,200百万円、営業利益で同4.7%増の1,900百万円とし、積極的な成長投資を継続しつつ、堅実な成長を目指す。地政学リスクの高まりや物価上昇、情報セキュリティ対策、DX/AX、事業承継・M&A等の企業の経営課題が山積するなかで、引き続きグループ各社の総合力を生かして、こうしたニーズを取り込み成長につなげていく。
3. 中期経営計画
同社は、2026年5月に新中期経営計画「TCG Future Vision 2030」(2027年3月期~2031年3月期)を発表した。成長ビジョンとして「5万社の中堅企業層を“世界のFirst Call Companyへ”導く、唯一無二のグローバル経営コンサルティンググループ」になることを掲げ、引き続きM&Aを活用した経営コンサルティング領域の多角化と専門性の強化を推進する。2031年3月期の経営数値目標として、売上高250億円(年平均成長率9.0%)、営業利益30億円(同10.6%)、ROE15.0%(2026年3月期実績比4.5ポイント上昇)を設定し、このうち、M&Aで20〜30億円の売上高増を見込んでいる(経営コンサルティング領域は現在の5領域から8領域に拡張)。顧客開拓やクロスセル提案に当たっては、社内に蓄積してきた膨大なデータベースに生成AI技術を組み合わせ、個社ごとに迅速かつ最適な提案を行うことが可能となり、受注成約率の向上が期待される。
4. 株主還元策
株主還元方針としては、増収・増益に伴う増配の経営基調を継続し安定的な配当を実施すること(配当性向70〜80%・DOE7%以上)、資本効率向上を目的に自己株式取得を機動的に実施することで、総還元性向100%を目指す。2026年3月期の1株当たり配当金は前期比3.0円増配の27.0円(配当性向79.6%)を実施した。2027年3月期は同2.0円増配となる29.0円(配当性向80.3%)を予定している。また、自己株式取得についても取得総額100百万円または20万株を上限に実施している(取得期間:2026年6月15日〜7月31日)。株主優待も継続し、毎年9月末の株主を対象に保有株式数に応じてデジタルギフト(R)(500円〜10,000円分)を贈呈する。
■Key Points
・2026年3月期は経営コンサルティング領域の多角化戦略が奏功し、過去最高業績を更新
・2027年3月期も成長投資を継続しながら増収増益を目指す
・中堅企業層約5万社を対象に、様々な経営課題をワンストップで解決する総合経営コンサルティンググループとしてトップシェアを目指す
・配当性向70~80%・DOE7%以上で増配を継続、自己株式取得も含めて総還元性向100%を目指し、株主優待もデジタルギフト(R)を贈呈
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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