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「お母さん食堂」は差別的?高校生を署名活動に駆り立てた大人に責任はないのか

ファミリーマートのオリジナル惣菜シリーズ「お母さん食堂」のネーミングを巡り、ブランド名変更を求めるオンライン署名活動が始まり、大きな波紋を呼んでいる。

報道などによると、署名活動を始めたのは兵庫県・京都府・岡山県の高校生3人。ガールスカウト日本連盟が実施するジェンダー平等について考えるプログラムに参加したことをきっかけに、性別によって役割を決めつけることがない社会をつくるための活動を開始。そのなかで、商品名が人の意識に与える固定観念への影響が大きいとの理由で、この「お母さん食堂」の名前を変える署名活動を始めたとのこと。署名の目標は1万人で12月31日まで受け付けるという。

ファミリーマートの「お母さん食堂」は、2017年9月から展開スタート。当時のリリースを見ると「昨今の少子高齢化や女性の社会進出、共働き世帯の増加、単身世帯の増加など環境の変化を背景に、惣菜市場への高まるニーズを受け」始めたものと記載されている。

ブランド立ち上げから3年以上が経った現在では、当初からあったお惣菜・冷凍総菜にくわえて、カット野菜やお豆腐などの調理用食材のシリーズ、さらには素材や製法にこだわった「お母さん食堂プレミアム」というラインも存在するなど、様々な商品が「お母さん食堂」ブランドの元で販売されている。

取沙汰される「香取慎吾起用」の真意

スタートから3年以上が経ち、すっかり定着した感もあるファミマの「お母さん食堂」に対し、降って湧いたように飛び出した今回のネーミング変更要求。

しかし、ネット上では「ファミリーマートは抜かりがなかった」という反応が多い。というのも、「お母さん食堂」のCM等に出演するお母さん役のキャラクターを演じているのは女装した香取慎吾さん、つまり男性だからだ。

ネットでは、単純に女性タレントではなく、女装した男性タレントを起用している点で、「性による役割固定」といった問題においてかなり配慮しているのではないかという、ファミマを擁護する意見が多い。さらには「「お母さん」が女性っていう固定観念を前提に話してるのが間違い」「男性が女性を演じることが問題なら、それはトランスジェンダーの否定じゃないか」との声もあがる。

また、あくまで率直な感想として「お母さん食堂」に対してジェンダー的な違和感を持たないという意見も多い。その理由としては、単に女装した男性ということよりも「慎吾ママだから」という、香取慎吾さん自身のパーソナリティに寄るところが大きいようである。

ちなみに、香取慎吾さんが慎吾ママのキャラクターで人気を博し、『慎吾ママのおはロック』が大ヒットしたのは2000年の話。現在高校生なら、恐らくまだ生まれてもいない頃ということもあり、そのあたりの香取慎吾さんに対するイメージの相違は、もしかするとあるのかもしれない。

いっぽうでCMの設定において、香取慎吾さん演じる「お母さん」は家庭の中ではなく、食堂の営む女性となっていることに着目する人も。これらの状況からネットでは、ファミマ側は当初からこの手の批判が来ることを想定していたのでは、との見方がかなり多く、「予想されるこのツッコミをかわす為だったのかよwww」「そういうところCMの作り方が上手」といった、ファミマの“先見の明”を指摘する声が多くあがっている。

「なんでも署名活動」に辟易する声も

このような香取慎吾さん起用の“意味”に関して盛り上がるなか、ネット上でさらに取沙汰されているのが、なんでも署名活動に発展する最近の風潮に対する是非だ。

もし今回の件で、高校生側が訴える「性による役割固定」に関して一石を投じたいというなら、ファミリーマート側にその旨を伝えたうえで対話の場を設けてもらうなど、他にも方法はあるはず。にもかかわらず、いきなり署名活動を始めたことに対して、その数をバックに相手に言うことを聞かせようという思惑が透けて見えると、反感の声が少なからずあがっている。

ネット上では、署名活動以外の穏便な解決方法を模索して欲しいと願う声があがるとともに、「周りにいる大人が適切なアドバイスをしろ」といった意見も。ちなみに今回の署名活動に関しては、公益社団法人ガールスカウト日本連盟なる団体が完全バックアップしている模様で、25日にはリリースも公開しているが、この団体に関しても結果として批判の声が集まる形となっている。

現在のところ、ファミリーマートのホームページやTwitterなどに、今回の署名活動に対してのレスポンスはなく、今後どのような経緯を辿るのか、大いに注目されるところである。

Next: 『慎吾ママ』を踊ってた世代が社会人になった今…

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