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地銀を弱体化させて再編強行。菅総理「地銀は真面目にやってない」の真意とは=矢口新

成果その1「企業部門では、中小企業を含めて企業収益が大幅に改善しました」

この1つ目は、2017年度、2018年度と、企業は売上高、利益共に過去最高を更新するので、この時点では確かなものだった。

成果その2「家計部門では、雇用・所得環境が大幅に改善しました」

2つ目の雇用は、10%への消費増税を行った2019年10月までは改善した。

図1:失業率の推移

図1:失業率の推移

この図は1989年(平成元年)以降の毎月ごとの失業率の推移だ。黄色の折れ線グラフが男の、青色線が女の、水色線が男女計の失業率だ。左の方では男の方の失業率が低かったのが、1997年(平成9年)の消費増税、日本の金融危機のあたりから、男の方が高くなったことが分かる。

また実質賃金も、2016年の時点では上向きに転じていた。

図2:実質賃金の推移

図2:実質賃金の推移

この図は、1995年以降の実質賃金の推移の国際比較だ。赤色の折れ線グラフが日本の実質賃金の推移。その他が主要先進国のものだ。

世界の国々で実質賃金が程度の差こそあれ上昇していくのに対し、日本だけは低下していくことが見て取れる。

成果その3「物価の基調も明確に改善しています」

3つ目の物価は、量的緩和開始の2013年、14年と上昇したが、この報告書にある2016年秋時点では急速に下げたところから、ようやく上げ基調に転じたところだった。

図3:消費者物価の推移

図3:消費者物価の推移

この図は、2015年を基準として指数化した消費者物価指数の1980年から2019年までの推移だ。物価は基本的に下げたまま、ゼロを挟んで横ばいの状態が続いていることが見て取れる。

日銀が未曾有の量的緩和とマイナス金利政策という未曽有のコストを払ったにしては、その唯一の目標とするインフレ上昇率2%に届いたのは量的緩和導入直後の一時期だけだ。

マイナス金利政策後のこの報告書時点では、数カ月上向いていただけで、結果的に目標には一度も届かなかった。

Next: 地銀が苦しむのは当然。政府が考える物価目標「未達」の原因とは

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