fbpx

地銀を弱体化させて再編強行。菅総理「地銀は真面目にやってない」の真意とは=矢口新

政府が考える物価目標「未達」の原因

その理由を、日銀の報告書では以下のように述べている。

(2%の実現を阻害した要因)
一方、こうした大規模な金融緩和にもかかわらず、2%の「物価安定の目標」は実現できていません。この間、外的な要因として、

第一に、原油価格が14年夏以降大幅かつ数度にわたって下落したこと、
第二に、14年4月の消費税率の引き上げ後の個人消費を中心とする需要の弱さ、
第三に、15 年夏以降の新興国経済の減速やそのもとでの国際金融市場の不安定な動き

などが、影響したことは明らかです。
出典:金融緩和政策の「総括的な検証」 − 考え方とアプローチ −(きさらぎ会における講演) – 日本銀行(PDFファイル)

とはいえ、1と3はこの時点の要因に過ぎず、前ページの図3に見られるような長期にわたる物価低迷の要因にはならない。

むしろ、2の消費増税が、上げかけた物価が下落に転じた4つのピーク、1990年頃、1997年、上記の2014年と一致するのが見て取れる。もう1つの2008年はリーマン・ショックの影響だと思われる。

以上がマイナス金利政策後の成果だとするものだが、同時に悪影響も報告している。

マイナス金利の効果と影響

(金融仲介機能に与える影響)

一般的に、金融機関は、「短期調達・長期運用」を基本構造としているほか、調達の主な手段である預金金利がマイナスとなりにくいため、イールドカーブ全体にわたって金利水準が低下したり、短期金利と長期金利の差が小さくなることは、預貸金利鞘の縮小をもたらし、収益にマイナスの影響を及ぼします。

特に、わが国の場合、預金残高が貸出残高を大幅に上回っていること、長期間にわたって金融機関間の競争が続いたため、預貸金利鞘が既にきわめて低水準となっていることなどから、マイナス金利が金融機関の収益に与える影響が相対的に大きいと考えられます。

また、マイナス金利導入後、長期金利や超長期金利の水準が大幅に低下していますが、こうしたもとで、保険や年金の運用利回りの低下が見込まれており、貯蓄性の商品の一部で販売停止などの動きがみられています。一部には、割引現在価値でみた退職給付債務が増加し、減益要因となっている企業もみられています。

出典:同上

つまり、はっきりと金融機関への悪影響を述べているのだ。また、同時期には金融庁が「地方銀行の6割以上が本業で赤字へ」と試算した。

これらが明らかにしているのは、銀行は日銀の政策によって構造不況業種となったことだ。そして、それを政府当局が十分に認識していることだ。

Next: もう地銀は必要ない?菅政権の兵糧攻めで潰れていく

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー