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中国の電気自動車が「2020年後半から急に」売れ出した理由。EVシフトの大波は日本にも=牧野武文

移動手段と考えるのは古い? EVの扱いが変わってきた

ガソリン車とEVは、見た目はそっくりですが、根本的に異なっているツールです。

ですから、EVを使うのであれば、EVに適した使い方をすべきですが、私たちはどうしてもガソリン車的な使い方(気ままに無計画のドライブに出るなど)を想定し、それがしづらいことをEVの欠点だと考えがちです。これはパソコンとスマートフォンを比べて「画面は小さいし、キーボードもついていない」と嘆くようなものです。

EVの車種が増えることにより、次第にEVなりの使い方を理解した消費者が増えていくことになりました。それがコロナ終息後の「内循環」と見事にシンクロしました。

EVメーカーが積み重ねてきた努力は、車種を増やしたことだけではありません。

先ほどの「中国Z世代自動車購入傾向調査」に面白い設問があります。それは「あなたにとっての自動車を表すのに適している言葉を選んでください」というものです。つまり自動車をどのようなイメージで見ているのかを調べたものです。最も多いのは「移動ツール」ですが、Z世代とそれ以外の世代の差を比べて、Z世代が回答した割合が多い順に並べると、1位が「テクノロジーデバイスのひとつ」、2位は「スマート機能のある移動空間」になります。

つまり、若者は自動車をスマホと同じようなデバイスのひとつだとみなしているということです。

期待される自動運転。いまや高級車とは「高機能車」のこと

そのようなデバイスとしての機能で最も注目をされているのが、オートパイロットです。

テスラのモデル3では、オートパイロットオプションをつけると6万元(約100万円)高くなりますが、多くの購入者がこのオプションをつけます。車線を認識するオートステアリングが使えるため、一定条件下での運転中はステアリング操作が不要となります。また、テスラは将来提供される完全自動運転にもすべての車種が対応しており、スマホアプリのようにアップデートが行なわれていきます。このようなデバイス的発想が若い世代の心をつかみました。BYDもDiPilot、ニーオもNIO Pilotと呼ばれるオートパイロット機能が搭載されています。

また、テスラのモデル3では、10人までの運転者を記憶する機能があります。ワンタップで、登録したシート位置、ハンドル位置、ミラー位置に自動調整してくれます。家族で共有し、運転を変わる時などに便利な機能です。さらに、乗り降りする時は、自動でシートが下り、ハンドルが下り、乗り降りしやすくなります。自動車をデバイス感覚で見ている人に刺さるのはこういう機能なのです。

当然ながら、カーナビゲーションの機能は標準装備で、5G接続、車内Wi-Fiも当たり前、音楽サブスクや動画配信サービス、SNSもスマホと同じ感覚のものが搭載され、音声やタッチで操作ができるようになっています。

こういうのが今の高級感なのです。シートに質の高い革素材を使うとか、ハンドルに天然木素材を使うということもよりも、高級さを機能に求めるのです。iPhoneが高級スマホと受け止められているのは、無垢アルミ素材を使っているからではなく、ユーザーの求める機能が備わり、快適な使いやすさを実現しているからです。高級感の意味合いが変化をしています。

現在売れているEVは、もはや車というよりも、走るスマホです。走るスマホだからこそ、若い世代が興味を持つようになっているのです。

また、販売手法も大きく変わりました。こんな時代だから、自動車もECで買うのかというと逆で、多くの人が販売店に行きます。理由は――

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  • vol.057:テック企業に蔓延する996。社会問題化する長時間労働問題(2/1)

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  • vol.044:貧困を撲滅するタオバオ村の成功例と失敗例(11/2)

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  • vol.043:スマートフォンサブブランド戦略はどのように機能をしているのか?(10/26)
  • vol.042:EC「京東」のライフサイクル手法。ビッグデータ解析によるマーケティング(10/19)
  • vol.041:休日消費に起きている変化。キーワードは即時配送、到家サービス、家族(10/12)
  • vol.040:進化が止まらないライブコマース。自動車、マンション、ザリガニまでも(10/5)

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  • vol.039:すべての小売業は新小売になる。既存小売はどこまで新小売化を進めているか?(9/28)
  • vol.038:プラットフォーム化するショートムービー。そのビジネス構造(9/21)
  • vol.037:WeChatへの大転換を可能にしたテンセントと創業者のポニー・マー(9/14)
  • vol.036:デジタル界の無印良品になりたい。中国製造業を変えた小米(シャオミ)創業者「雷軍」(9/7)

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2020年8月配信分
  • vol.035:新中華圏が構築されつつある東南アジアITビジネス(8/31)
  • vol.034:中国の人工知能産業は、米国にどこまで迫っているのか(8/24)
  • vol.033:BATがBATである理由。トラフィック制御からの視点(8/17)
  • vol.032:ソーシャルEC。次世代ECなのか、それとも中国独特のECなのか(8/10)
  • vol.031:大量導入前夜になった中国の自動運転車(8/3)

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2020年7月配信分
  • vol.030:コロナ終息後、中国経済に起きている5つの変化(7/27)
  • vol.029:店舗、ECに続く第3の販売チャンネル「ライブEC」(7/20)
  • vol.028:MaaSにいちばん近い企業。滴滴出行の現在(7/13)
  • vol.027:中国に残された個人消費フロンティア「下沈市場」とは何か?(7/6)

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2020年6月配信分
  • vol.026:中国インバウンド客はいつ頃戻ってくるか?(6/29)
  • vol.025:ポイント還元をむしゃぶりつくす羊毛党とその産業構造(6/22)
  • vol.24:ゲーム業界から注目される女性プレイヤー。「彼女ゲーム市場」とは何か(6/15)
  • vol.023:即時配送が変える小売業態。新小売と社区団購(6/8)
  • vol.022 OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平(6/1)

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2020年5月配信分
  • vol.021 感染拡大で実戦投入された人工知能テクノロジーの数々(5/25)
  • vol.020 経済復活の鍵は「ライブEC」。感染拡大から広がる新たな販売手法(5/18)
  • vol.019 生き残りを賭ける飲食業。鍵は「外売」(デリバリー)(5/11)
  • vol.018 ニューノーマル。終息後の新日常は、以前とどう変わるのか?(5/4)

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2020年4月配信分
  • vol.017 アリババとテンセント。ECビジネスをめぐる衝突(4/27)
  • vol.016 敗走するアマゾン、カルフール。理由はグローバルとローカルの衝突(4/20)
  • vol.015 中高年にスマホ決済を浸透させた台湾庶民派スーパー「PX Mart」の取り組み(4/13)
  • vol.014 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?(4/6)

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2020年3月配信分
  • vol.013 1日で420億円の商品を売る。網紅の桁外れの販売力の仕組み(3/30)
  • vol.012 広告メディアとしてのTik Tok。その驚異のコンバージョンの秘密(3/23)
  • vol.011 人口ボーナス消失とZ世代。経済縮小が始まる(3/16)
  • vol.010 中国テック企業は、新型コロナとどう戦っているか(3/9)
  • vol.009 潜在顧客を掘り起こし、リピーターを育成するモバイルオーダー(3/2)

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2020年2月配信分
  • vol.008 新小売戦略の要となったフードデリバリー「外売」(2/24)
  • vol.007 ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売(2/17)
  • vol.006 中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?(2/10)
  • vol.005 第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?(2/3)

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2020年1月配信分
  • vol.004 ファーウェイと創業者、任正非(1/27)
  • vol.003 シェアリング自転車は投資バブルだったのか(1/20)
  • vol.002 アリペイとWeChatペイはなぜ普及をしたのか(1/13)
  • vol.001 生鮮ECの背後にある前置倉と店倉合一の発想(1/6)

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image by:Jengtingchen at Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2021年3月8日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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