「イギリス医療自由連盟(UMFA)」が注目する論文
そうしたとき、「イギリス医療自由連盟(UMFA)」は、公開質問状に記載した死亡原因の仮説を証明する可能性のある論文が発表になっているとツイートした。
その論文は、ドイツ、デュッセルドルフの研究チームが発表した「ビオンテック/ファイザー製ワクチン接種に対する年齢依存性免疫応答」という題名の未査読の論文だ。
これはエール大学などが主催するプレプリントサーバ、「medRxiv」にアップロードされたものだ。書き手は、デュッセルドルフ「ウイルス研究所」のリサ・ミュラー博士らのチームだ。
この研究は、80歳以上の高齢者と、それよりも若い60歳未満の層との間で、ワクチン接種後の免疫反応を比較的したものである。
ちなみに免疫反応とは、ワクチン接種後に起こる免疫細胞の反応のことである。ワクチン接種によって新型コロナウイルスの抗体ができるので、免疫反応は強化される。この強化の程度の違いを、80歳以上の高齢者と60歳未満の層を比較したのが今回の研究だ。
80歳以上の高齢者の場合、ワクチンの効果は薄い?
すると結果は、ファイザーやビオンテックが製造した「mRNAワクチン」を接種した80歳以上の高齢者の免疫反応は、60歳未満の層に比べ、かなりの程度で弱くなっていた。2回目のワクチン接種後、高齢者の31.3%は検出可能な中和抗体がなかったが、60歳未満に若いグループでは、中和抗体がなかった人の割合は2.2%だけだった。
ちなみに中和抗体とは、特定タンパク質の活動を抑えることができる抗体のことだ。新型コロナウイルスの表面には、突起のような「スパイクタンパク質」があり、これを人間の細胞にある「ACE2受容体」を介して細胞内に侵入する。ワクチン接種でできる中和抗体は、「スパイクタンパク質」の働きを抑制する。その結果、新型コロナウイルスに感染しにくくなるか、または感染しても重症化しにくくなる。
ワクチン接種しても中和抗体を持たない人々が、80歳以上の高齢者では、31.3%もいた。これらの人々に「ワクチンはほとんど効力がなかった」ということだ。
この結果を受けて、論文では次のように結論する。
「我々のデータは、高齢者集団における「mRNAワクチン」接種後の中和抗体ができる頻度が低いことを示している。したがって、感染に対する強力な免疫を確保するためには、早期の再ワクチン接種が必要になってくる可能性がある」