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テスラの都合でビットコイン急落。暗号資産は3大欠陥により通貨にはなり得ない=矢口新

暗号資産が通貨にならない3つの理由

<通貨になりえない理由その1:システム全体のコストが高く、常に新規参入者を必要とする>

ビットコインはマイニングと取引の検証作業に絶えざる計算を必要とする性質上、常に膨大な電気代というコストがかかっている。

高スペックの機器や電気代のコストは多くのマイナーたちが負担しており、そのコストと労働に対する対価は仮想通貨で支払われている。

これは仮想通貨の価格が一定以下に下がると、膨大なコストを賄えないことを意味するので、誰かが常に新規発行量以上を買うことで、支えていなければならない。

つまり、ビットコインのユーザーは低取引コストの見返りに、大きな価格変動リスクを負っていることになる。

<通貨になりえない理由その2:価値が安定しない>

通貨が諸物品と常に交換できるのは、通貨の価値が安定しているからだ。各国の法定通貨の場合、他国通貨との変動率が短期間に2桁動くようなことがあっても、国内物価がそれほど動くことはほとんどない。そうしたハイパーインフレが起きる場合には、その国の経済が破綻状態にあることを示している。

しかし、ビットコインは毎日のように2桁変動することも珍しくなく、年間では数倍、十数倍にもなる。

仮にテスラのある車種が10万ドルとし、ビットコインが5万ドルの時に2ユニットの支払いを受けたとする。ところが、決算時にビットコインが1万ドルに値下がりしていれば、売上は2万ドルでしかない。あるいは、ビットコインが10万ドルになっていれば売上は20万ドルとなり、見かけ上の税引前利益が増えることになる。

また、テスラへの部品の供給先がビットコインでの支払いを受け入れなければ、ビットコインの売買損益はテスラ一社が被ることになり、決算の度に大きく損益が振れることになる。

<通貨になりえない理由その3:流動性がない>

仮想通貨は流動性に欠けている。取引所内で流通していることを除けば、現時点でモノやサービスの提供者が仮想通貨での支払いを受け入れていても、それがいつまで続くかの保証はない。

仮に商業取引で誰も受け取らなくなると、取引所の外では突然無価値になるというリスクを抱えている。

商店やメーカーが仮想通貨のように価格変動の大きなものを受け入れると、売上高や利益が大きく振れることになるので、一定量以上は受け取れないからだ。

また、現時点の取引所が470、仮想通貨の種類も7,200を超え、どちらも増え続けているので、個々のままでは流動性が増す可能性も限られている。その意味では、マイニングやトレーディングで仮想通貨に直接関わっている人以外には、使い勝手が甚だしく悪いと言わざるを得ない。

Next: 少数の保有者だけで価格変動を起こせる暗号資産

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