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まるで丁半博打。アルツハイマー新薬“歴史的承認”の裏で繰り広げられていた深夜の「エーザイチャレンジ」とは

アメリカの製薬会社・バイオジェンと日本のエーザイが共同で開発したアルツハイマー病の治療薬を、米食品医薬品局(FDA)が治療薬として承認したと発表したことが、大きな波紋を呼んでいる。

報道によると、両社が開発した新薬「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー病の原因と考えられている脳内の異常なタンパク質「アミロイドβ」を取り除き、神経細胞が壊れるのを防ぐ効果があるとされ、FDAも「臨床試験の結果、アミロイドβの減少が確認され、患者の症状への効果が合理的に予測される」と評価。アルツハイマー病の新薬が承認されたのは2003年以来18年ぶりで、さらにアルツハイマーの進行を抑える効果が期待される薬の承認は初めてだという。

この報道を受けて、エーザイ株は8日の朝方から買い注文が殺到。取引が成立しない事態が続き、結局終値は値幅制限いっぱいのストップ高水準の9,251円に。前日終値比で1,500円の急騰、今年の最高値を更新した。なお、前夜7日のエーザイの米国預託証券(ADR)は約56%の急騰、終値ベースで過去最大の値上がりを記録している。

新薬承認に賭けた「エーザイチャレンジ」も続出

アルツハイマー病の治療にとって、歴史的な出来事だと評価する声もあがっている今回の新薬承認。ただ、承認に至るまでは様々な紆余曲折があったようで、治験結果の不調から一時は開発を中止する事態になったという。さらに承認申請をした後も、追加データの検証するために審査終了が3か月延長されたことも。このように開発の進展と停滞を繰り返すごとに、バイオジェンとエーザイの株価は乱高下を繰り返していたという。

いっぽうで、その延長されたFDAによる審査結果発表が、日本時間の6/7~8夜中に行われることは、一部の層ではかねてから注目されていたようだ。もしも承認となれば株価爆上げの可能性、いっぽうで非承認なら逆に爆下げも……ということで、特にホルダーの方は相当気を揉んでいたに違いない。

さらに、審査結果発表の直前タイミングには「新薬承認→株価爆上がり」の可能性に賭けて、PTS取引でエーザイ株に手を出すという、人呼んで「エーザイチャレンジ」に討って出る向きも相当数いた様子。振り返ってみれば、このタイミングが今回の「祭り」の恩恵にあずかれる最後のチャンスだったようだ。

晴れて「承認」と決まり、かねてからのホルダーや「エーザイチャレンジ」に挑んだ人々からは歓喜の声があがるいっぽう、勝者の影に敗者あり。今回の申請は「非承認」だと踏んだ人々、あるいはバイオ株特有の気ままな値動きに付き合いきれなくなった人々のなかには、今回の審査結果発表の直前に手放してしまったという人も多かったようで、そういった人々にとっては悔やんでも悔やみきれない展開となってしまった。

エーザイ<4523> 月足(SBI証券提供)

エーザイ<4523> 月足(SBI証券提供)

今後の承認取り消しで「爆下がり」の可能性も

このように株価暴騰に沸くエーザイ株のホルダーたちだが、とはいえ諸手を上げて喜んでばかりもいられないという声も。

というのも、今回承認を受けたアデュカヌマブは、市場投入後にも別途、検証試験をする必要があるとのこと。その際に効果の確認が仮になされなかった場合は、新薬の承認を取り消す可能性があると、FDAがコメントしているというのだ。

もしも、そのような事態になったとしたら……。ネットでは、今後の「爆下げ」リスクを指摘する意見が早くもあがっている状況だ。

しかしながら、このアデュカヌマブ自体は、薬価がかなり高いなどの課題はありつつも、アルツハイマー病で苦しむ患者やその家族、あるいは医療関係者にとっては、まさに希望の存在。株価の動向などは置いとき、今後の普及を切に願いたいところである。

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