スティーブ・バノン氏が「反・中国共産党」に呼応
これによって郭文貴は明確に中国共産党の敵と認識されるようになっていく。
この郭文貴の「反共」に呼応したのが、スティーブ・バノンであり、ルドルフ・ジュリアーニだった。バノンはオルタナ右翼であり、ドナルド・トランプ政権の大統領首席戦略官でもあった。ジュリアーニは元NY市長であった。
どちらもアメリカでは対中強硬派の右派として知られている人物だが、郭文貴はこの中でもスティーブ・バノンと深く親交を結びつくようになって今に至っている。
6月4日という日に設立された「新中国連邦」という反共組織
実のところ、郭文貴とバノンの両者は、どちらもビジネスでは不明な資金の流れを指摘され、FBIの調査が入っている。スティーブン・バノンは郭文貴が所有する高級ヨット「レディー・メイ号」上で逮捕された。
こうした事実や言動から、2人とも世間の目からすると非常にダーティーな人物として捉えられている。少なくとも品行方正な人物ではまったくない。
しかし、2人とも非常に影響力が強く、熱狂的な支持者を持つ。この2人が組んだのが反共の組織「新中国連邦」であった。
2020年6月4日、まさに六四天安門事件が起きたその日に設立されたものである。郭文貴はこれを「亡命政府」と呼ぶ。
この「新中国連邦」だが、すでに本部のニューヨーク以外に、日本・イギリス・ニュージーランドがある。2021年6月4日。東京都内の某所で中国人200名以上が集まって、新中国連邦の1周年記念の集いを開いていた。
シンボルカラーは青が使われているのだが、その理由として「中国共産党は赤を使っている。対抗する我々が赤を使うのはどうなのか」と私に説明した。非常に豪華絢爛で、この組織には潤沢な資金があることを窺わせるものであった。
日本国内には、すでに北海道から沖縄まで「新中国連邦」のメンバーがいるのだが、彼らは中国共産党の追及をかわすために、すべて互いにそれぞれハンドルネームで呼び合い、互いに相手の素性を訊かないルールで身元が割れるのを防いでいる。
さらにより隠蔽性を高めたいメンバーは、サングラスとマスクで顔を隠すほど用心をしている。
これらのメンバーは郭文貴が新中国連邦のコミュニティーのために作り上げているメディアやSNSなどにアクセスして考え方に共鳴した人物が集まっている。
誰でもメンバーになれるわけではなく、ニューヨークで運営されている「法治基金」と呼ばれるファンドに寄付して、審査を経てメンバーになる仕組みである。
実は、この法治基金の会長もスティーブ・バノンがなっている。いかに郭文貴とバノンの結びつきが深いかが分かる。