テキサス州政府は声明で仮想通貨のサービス提供を許可
また、興味深い動きも起こっている。「テキサス州政府銀行部」は州内で営業している銀行に、ビットコインなどの仮想通貨を対象としたサービスの提供を許可した。
これには、銀行が顧客の保有する暗号資産を管理するサービスや、顧客のウォレットのプライベートキーだけを管理するサービスなどだ。
テキサス州政府は銀行がこのような仮想通貨を対象したサービスを提供する場合、州の設定した規制を順守するように求めているものの、仮想通貨の取引所と積極的に協力し、サービスの拡充を後押しする指針も出している。
これは「テキサス州政府」が仮想通貨を銀行の新たな収益源として容認した動きである。
先の「バーゼル委員会」の厳しい規制が、テキサス州のこうした動きにどのように影響するのかはまだ分からない。しかし、テキサス州の銀行が提供するサービスが、顧客のウォレットやプライベートキーの管理に限定されている場合、影響は小さいと考えられる。
キューバの仮想通貨に向けた不気味な動き
このように、「バーゼル委員会」の規制がある一方、ビットコインの法定通貨化の動きとともに、仮想通貨を積極的に容認する動きは加速度的に拡大しているように見える。
このひとつの背景は、新型コロナウイルスのパンデミックを機に、バイデン政権が実施した巨額の経済政策がもたらしたインフレの昂進が背景にある。
いまアメリカでは、過去30年来の高いインフレが始まっている。インフレ率はさらに高まる可能性も指摘されている。インフレとはドルの価値の減価だ。ドル保有のリスクを回避する必要から、リスクはあってもこれからも価値の上昇が見込まれるビットコインなどの仮想通貨に注目が集まっているのだ。
そのような状況で、ちょっと不気味なことも起こっている。6月12日、キューバのフランシスコ・レンス副大統領は、キューバに入国する観光客に米ドルは持ち込まないように注意した。6月21日からキューバ国内の銀行は、米ドルの取り扱いを停止するという。観光客には、ドル以外の通貨による決済を求めている。
前トランプ政権はキューバに厳しい経済制裁を課し、ドル決裁圏からキューバが実質的に排除された状態になっている。今回のキューバの処置は、この制裁に抗議する意味があるとされているが、他のカリブ海諸国で進みつつあるビットコインの法定通貨化の動きとタイミング的に連動しているとする観測もある。
つまりキューバは、将来のビットコインの法定通貨化を想定し、ドルの排除を決めたのではないかという観測だ。この方向に進むのかどうかは、時間が経つと分かるだろう。