7月12日から4回目の緊急事態宣言が出ている東京都だが、日本経済新聞による独自調査によると、都内繁華街にある個人飲食店のうち5割超が時短営業に応じていないことが判明し、ネット上に大きな衝撃が広がっている。
記事によると、全体では52%にあたる262店舗が、午後8時以降も営業していたとのこと。地域別では、7割に迫る68店舗が開いていた新宿駅周辺が最も多く、これら午後8時以降に営業している店の大半は、酒類を提供しているという。
各店舗が要請に従わない背景には、やはり協力金支給の遅れがあり、1月に申請した協力金が7月まで支給されなかったケースも。とある飲食店の店主は取材に対し「もう時短という選択肢はない」と答えるなど、もはや政府や都の要請に応じる気はないといった店も多いようだ。
「西村失言」が時短無視の動きに拍車か
新型コロナの感染拡大当初から今年頭頃までは、飲食店側としても不満は抱きつつも時短や休業に協力するところが多く、時短拒否を宣言した飲食チェーンを巡っては、ネット上でも賛否が分かれるといった事態に。さらに政府も、時短営業に応じない店舗に対して過料や店名公表ができるような法改正に動くなど、飲食店に対しては度々「いじめ」と揶揄されるほどの強硬な姿勢を取ってきた。
ただ、そのような厳しい営業の規制策も、見返りとして協力金が支払われるからこそ、飲食店側としても不承不承ながらも応じているわけで、その協力金の支払いが何か月も滞っている状況とあれば、話がまったく違うということで、協力しなくなる店が増えて来るのも無理のないところだろう。
いっぽうでSNS上などの反応をみると、今回の緊急事態宣言下においては時短営業に応じていない店の数が目に見えて増えたとの声も多い。
ここに来ての「時短要請無視店」急増の理由だが、先述の通り4回目となる緊急事態宣言の発令もあり、溜まりに溜まっていた不満がついに爆発した結果では……といった見方も。ただ、それ以上に影響が大きかったのではみられているのが、例の西村経済再生担当相による金融機関への「働きかけ」発言である。
西村氏がこのことを記者会見の場で明らかにしたのが7月8日の夜で、その直後から西村氏や政府に対して「飲食店に対する恐喝だ」「政府が貸し剥がしを推奨するのか」などと、激しい反発の声があがる事態になったのは記憶に新しいところ。その後、西村氏は発言の取り消しと謝罪に追い込まれたが、野党からは責任を取っての辞任を求める声があがるなど、不満はなおも燻っている状況だ。
ネット上でも「これが決め手になった」「西村大臣発言への怒りもあると思う」との声があがるなど、西村氏の発言がここに来ての時短無視店の急増に繋がったとの指摘は多い。政府側からみても、まさに取り返しのつかない大失策だったことが、今のこの状況が如実に表しているといえるだろう。
西村の(とされてしまった)発言が決め手になったようですね。
自由経済の基本も知らない政権は、今すぐ総辞職してもらってもいいと思います。新型コロナ: 都内飲食店の5割超、時短応じず 協力金遅れで離反: 日本経済新聞 https://t.co/wV6LBrqGgx
— ゴジのぐ (@nogooty) July 25, 2021
繁華街で目視という現場に出て足で稼いだ記事というのはとてもいいのだけど、飲食店の離反を招いているのは協力金支給の遅れだけではなく、西村大臣発言への怒りもあると思う。そこも聞いてほしかった。
飲食5割超、時短応じず: 日本経済新聞 https://t.co/MXtJUJtKOO
— \江戸西/ (@hitetsugisou) July 24, 2021
協力金先払い制導入も「休業要請方式が崩壊」との声
このような飲食店による「離反」の動きが顕著となるなか、以前の強硬姿勢はどこへやらといった感じで、最近打ち出しているのが協力金の「先払い」制度だ。
東京都では、今回の緊急事態宣言発令による時短要請に関し、要請に従う旨の誓約書の提出を条件に、先払い分として日額4万円を一律支給し、足りない場合は審査を経て追加支給を行うという。大阪府でも同様に、協力金の先行支給を行う方針で、早ければ30日にも支給を始める予定だという。
しかし、今回の「先払い」に関する処理を急ぐがために、東京都ではその前の5月12日~6月20日分の協力金申請開始日は、当初予定していた日程より10日ほど遅れることに。さらに6月21日~7月11日分については、申請開始日がいつなのかも決まっていないようだ。
過去の協力に対しての見返りは棚上げにしたうえで、今の時短要請に関する協力金はすぐに払うから応じてくれという、なんとも身勝手というか必死すぎるお願い。当然、飲食店からは「これまでの協力金も出ていないのに、まるで子供だましではないか」との声があがるなど、新制度に対する視線は至って冷ややかなようである。
これは感染者が増える。飲食店が悪いんじゃなくて、政府が悪いのだけれども。もう手遅れ。五輪も盛大に感染を拡大している。
新型コロナ: 都内飲食店の5割超、時短応じず 協力金遅れで離反: 日本経済新聞 https://t.co/YyFOX6G8hw
— 蔦 (@tsuta2010) July 25, 2021
ついに「要請」方式が崩壊。いまだに十分な損失補償がされないわけで、こうなるのも必然かなと思います
新型コロナ: 都内飲食店の5割超、時短応じず 協力金遅れで離反: 日本経済新聞 https://t.co/BAKONLMAqX
— 平 裕介 (@YusukeTaira) July 25, 2021
もはや「笛吹けども踊らず」といった今の状況に対して、ネット上からは「もう手遅れ」「ついに要請方式が崩壊」などといった声まで上がる始末。ワクチン不足の状態もしばらくは続くとみられるなか、飲食店の時短がなし崩し的に無くなっていくことで、感染者数の増減にどのような影響を及ぼすのか。かなり心配な情勢である。
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