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メトロ硫酸ぶっかけで広がる「なすすべなし」感。自己防衛は困難、なぜ日本で“無敵の人”犯罪が増加?背景に「格差社会」指摘も

東京メトロの白金高輪駅構内で24日夜、通行人が硫酸とみられる液体をかけられる事件が発生し、近隣住人をはじめ地下鉄利用者からも不安の声があがっている。

報道によると被害に遭ったのは、都内在住の会社員の男性(22)と女性(34)。犯人の男は手袋をした右手に小瓶のような容器を持ち、男性の顔に向かって容器のなかの液体をかけて、そのまま逃走。被害男性は顔や肩、背中などに約6か月のやけどを負う重傷だという。また被害女性は、地面にこぼれた硫酸を踏んで転倒した際に硫酸が付着。右膝などにやけどを負ったという。

犯人の男は出口から北方向へ逃走し、未だ捕まっていない。警視庁は傷害容疑として、防犯カメラに移った犯人の画像を公開し、情報提供を呼び掛けている。

ネット上で囁かれる「無敵の人」犯行説

今回、犯人がかけた液体は硫酸だとみられているが、日本においては濃度が10%を超えるものは、毒物及び劇物取締法において医薬用外劇物と指定され、その使用や保管などに規制がかけられ、もちろん購入する際には身分証明などが必須となる。

もしも今回の犯行に使われた硫酸が盗まれたものではなく、そういった手順を踏んで手に入れたものであれば、すでに犯人の画像も公開されているとあって、捕まるのも時間の問題ではないかといった見方も、一部ではあがっている。

いっぽうで、この手の「アシッドアタック」と呼ばれる犯罪行為だが、海外の特に中東や南アジアなどにおいては、数年前からすでに頻発。現地では、比較的若い女性が被害を受けるケースが多く、人種差別にくわえて女性蔑視といった風潮が、そのような行動の遠因となっているのではと指摘されている。

ただ今回起きた事件の状況みてみると、犯人が液体を直接かけたのは男性に向けてであり、海外での事例のように背景に女性への蔑視や恨みといったものはあまりなさそう。いわば、海外で増えているそういった犯行の、手口だけが輸入されてしまった格好だ。

そうなると、気になるのが犯行の動機だが、ネット上などで多くあがっているのが、世の中への憎しみを動機とした無差別テロという線だ。

思えばつい先日も、走行中の小田急線車内で職業不詳の30代男が、複数の乗客を刃物で切りつけたうえに、サラダ油をまいて火を付けようとした事件が起こったばかり。今回の犯行が起きた場所も、都内でも有数の高級住宅地として知られる港区白金エリアの駅で、本当のお金持ちが果たして電車を利用するのかどうかは置いとき、社会的成功者への嫉妬、格差社会への怒りといったものも、犯行の動機としてあったのではというのは、十分に考えられそうだ。

こういった職や財産など社会的に失うものが何もないが故に、違法行為にも何らためらいのない、いわゆる「無敵の人」と呼ばれる人々による犯罪が、ここに来て目に見えて増えている印象だ。

先の小田急線のケースでは、犯人が常温のサラダ油には火が付かないことを知らなかったが故に、幸いにも大惨事は免れたが、今回のように通常なら入手困難なはずの硫酸を、何らかの形で手に入れる術を持っている人物も、そんな「無敵の人」と呼ばれる人のなかには存在するというわけだ。

「自衛のしようがない」広がる恐怖

今後、日本国内でも模倣犯が増える可能性が大いに危惧されるアシッドアタック。もしも硫酸が体にかかってしまった場合は、皮膚の奥への浸透を防ぐためにも、すぐに大量の水での水で時間をかけて洗い流すことが大事、さらには目を守るためにサングラス着用は必須などと、この手の犯罪への自衛策に関する話がネット上では盛んだ。

また海外では、この手のアシッドアタックを受けた際に、肌を守るバリア代わりになるという女性向けのファンデーションが、すでに存在しているという。ただ、そうはいっても日本の場合だと、今回のように男女関係なく無差別的に被害に遭う可能性も高く、「こんなの自衛のしようがない…」といった諦めの意見が大勢。恐怖の声は、現場近隣に住む方や日頃駅を利用されている方に限らず、全国的に広がっている状況だ。

それだけに今後は、電車内など公共の場への危険物持ち込みの厳格化も大いに議論されそうだが、まずは急がれるのが今回の犯行に及んだ男の逮捕だ。

今回は警視庁も、午後9時過ぎに起きた犯行にもかかわらず、その日の深夜には犯人とみられる男の画像を公開。捜査側としては、手の内が知られるということもあり、犯人画像の公開には慎重になるケースが多いようだが、今回はすぐさま画像公開という異例ぶりで、スピード逮捕に向けて並々ならぬ意気込みの模様。国民の恐怖を払拭するためにも、その成果が早く現れることを祈るばかりである。

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