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2030年代に中国は分裂する。不動産バブル崩壊・電力不足・統制経済の三重苦で習近平体制は「終わりの始まり」へ=澤田聖陽

もう中国の高成長は戻らない

恒大の問題については、リーマン・ショックのような「短期的な金融危機にはならない」という考えを私は持っていて、このメルマガで以前にお話しした通りで変わっていません。

しかし、短期的な金融危機にはならないが、日本のバブル崩壊後のような、長期の「バランスシート不況」に陥るだろうと考えています。

おそらく今後は10年単位の不況になり、中国が以前のような高成長に戻ることは、少なくとも短期的には難しいでしょう。

中国にとって不幸なのは、不況に突入すると同時に、急速に高齢化社会が到来し、人口オーナス期(子ども・高齢者に比べて、労働力人口が少ない状態)に入っていくという点です。

しかも日本のように十分に国民全体が富んだ後の高齢化社会の到来ではなく、まだ約6億人もの貧困層がおり、社会保障も十分ではないなかで高齢化に突入します。

不況が社会不安に繋がることを、中国政府と中国共産党は一番恐れていると思います。

問題その2:電力不足問題

ここにきて、中国の電力不足が深刻な状況に陥っています。

日本のマスコミは、脱炭素の流れのなかで、中国政府が石炭産出や石炭火力発電を抑制していることが原因という報道がされているが、それは一要素でしかありません。

冬場には数万人の死亡者が出る中国の電力不足は、以下の要素によって起こります。

1. 政府による地方政府への石炭産出、石炭火力発電抑制の要請
2. オーストラリアとの関係悪化による石炭輸入の減少
3. 水害により国内の複数の炭鉱が水没して稼働停止

中国は脱炭素に舵を切り始めたと言われているが、比率が下がってきているとはいえ、足元では石炭火力が未だ総発電量の約半分を占めています。

そのようななかで、(1)~(3)のような要素が重なり、石炭価格の急上昇と供給不足が生じました。

結果として、一部地域では計画停電まで行わなければいけないような事態になっています。

そしてこの電力不足は、大方の見方では長期化すると見られています。

Next: 中国経済へのダメージ大。電気不足で成長が止まる

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