低下するバイデンの支持率
一方、バイデン大統領の支持率は下落している。
「ABC放送」のニュースサイト、「ファイブサーティーエイト」の大統領支持率調査によると、バイデンが大統領として行っている仕事を承認しているアメリカ人は43.7%、不承認は50.0%だった。
先週の時点では、支持が44.7%、不支持が49.7%だった。さらに1ヶ月前のバイデン氏の支持率は46.5%、不支持率は48.9%だった。
このように、時間が経つにしたがって、バイデンの支持率は低下し、それとは対照的にトランプの期待感は高まる傾向にある。
国民を支配するインフレと物不足の恐怖
このように、明らかにバイデンの支持は低下し、トランプは勢いを回復しつつある。では、このような状況になっている原因はなんだろうか?
そのひとつは、昂進するインフレへの恐怖だ。
さんざん報道されているので周知だろうが、いまアメリカは30年ぶりの高いインフレに見舞われている。10月の消費者物価指数が前年同月比、5.3%の上昇であった。数値を見るとたいしたインフレ率ではないように見えるが、今回のインフレの背景には、かつてないような物不足があるので、多くの国民が経済の先行きに不安を感じ、恐怖しているのだ。
事実、「FOXニュース」の調査では、食品価格は今後60日間で10%以上の値上げが予想される州が多くなっているという。物不足のため陳列棚から商品が消える商店も、州を問わず増えている。
最近、ツイッターに投稿されたある不気味な動画が話題になっている。それは物不足でデパートの陳列棚が全部空いているので、それを隠すためにカラフルな折りたたみ式の芝生の椅子を何列も並べている動画だった。これを見た人々は、「ベネズエラでこのようなことが起こるのを見たことがある。ベネズエラがどうなったかは知っているが、いまアメリカも同じようだ」などとツイートした。
これは、これはアメリカ人の物不足に対する恐怖を象徴的に表す例だ。日を追うごとに、本当に少しずつベネズエラのようになってきているのではないかという不安感が増している。ベネスエラは国家破綻しており、十分な食料の供給もできない状態になっている。2020年のインフレ率は3000%だ。ベネズエラの通貨、ボリバルは実質的に紙くずと化している。
もちろんいまのアメリカとは比較にならない状況で、アメリカがこのようになることは考えられない。しかし、物不足による昂進するインフレを体験して、将来アメリカもベネズエラのような状況になるのではないかという恐怖感が一人歩きしている。