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なぜ大企業ほど「税負担」が軽いのか。会社員と中小企業からがっつり徴収する不公平=神岡真司

大企業の「儲けの蓄積」は膨大なものになっている

この結果、国民は負担の増加で貧乏になる一方でした。

反対に資本金10億円以上の大企業は、2011年以降連続で内部留保額を増やし、その額は2018年度には463兆円にも達し、21年3月には484兆円にまで膨らんでいます。

内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを引いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれるもので、いわば「企業の儲けの蓄積」です。

アベノミクスの円安誘導もあって輸出大企業ほど利益を積み上げてきたのです。

大企業ほど「税負担」が軽くなっている

先に法人税等の税負担である実効税率は29.74%と紹介しましたが、驚くことに大企業ほど、この実効税率よりもはるかに税負担は軽いのです。

まずは古いデータから見ておきましょう。

法人税率がまだ30%だった頃、国税庁が発表した「平成22年度(2010)会社標本調査」があります。

これによれば各種の税制優遇措置を経たのちの法人税等の負担率は、資本金1億円未満の中小企業が25.5%、資本金1億円以上10億円未満の中堅企業が27.6%、資本金10億円以上の大企業が19.6%という有様だったのです。

当時の法人税等の実効税率は、39.54%でしたから、大企業の実際の税負担率は実効税率の半分程度にすぎなかったわけで、中小企業や中堅企業が、大企業よりもはるかに重い税負担率だったのです。

最新のデータではどうでしょうか。

東洋経済オンラインが2019年11月に発表した「税負担の少ない大企業ランキング200」によれば、売上高1,000億円以上の直近本決算(2018年10月期~2019年9月期)から算出した法人税等の税負担率では、10%に満たない大企業が14社あり、10%台の大企業が54社、20%から25%未満の大企業が92社もあり、ランキング200位の大企業でさえ26.2%の税負担率に過ぎないのでした。

このランキングには名だたる大企業が並んでいるのですが、大企業ほど税金を少ししか払っていない実情が驚くほどに見えてくるのです。

Next: 大企業による政権への「政治献金」が諸悪の根源だった?

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