なぜ小池都知事は太陽光パネル設置「義務化」を進めるのか
上田:そもそもね、地域によって環境が違って日照時間も違って、災害にしても台風があったり土砂崩れがあったり自然環境が違うわけですよ。熱海では土砂崩れ災害が甚大となったのは記憶に新しいところです。土砂と言えば、何でもスクラップ&ビルドして建設ゴミを作ると、大手ゼネコンの下請けの下請け、末端事業者は最後は産廃まじりものを山の方に廃棄する事例も散見されます。
それでまた神宮外苑問題でも、古い建造物をもぶっ壊し、都内至るところを「再開発」「まちづくり」の名のもとにスクラップ&ビルドし、ゴミが出る、山に捨てる、メガソーラーを立てる、土砂崩れ……みたいなことが起きていて、大局的には愚かなことを行政はSDGsの名のもとに無限ループのようにやっていると思います。
鈴木:それで、いろんな問題を抱えながらも、小池百合子都知事は太陽光パネル設置義務化を進めようとしています。勝手に思いつきで動いているような感じがするのですが、このあたりは何があったんでしょうか?
上田:小池百合子都知事の太陽光パネル設置義務化については去年の11月頃から飛ばし記事を書かせ始めたじゃないですか。日経新聞とか。左派の東京新聞は逆の意味で持ち上げるように書き始めて、私「何か臭うな」「なんで、こんなものを急に進め始めるようになったんだろう」と思って、今年の第1回定例会で質問をさせていただいたわけなんですよ。議事録も出させたんですよ。
昨年8月までは「検証しましょう」とか「結果を待ちましょう」みたいな内容だったんですけど、突然9月13日には検証結果も待たずにいきなり「進める」とか言い始めているんですよね、都知事が。情報公開請求して判明した「太陽光パネルXデー」です。
鈴木:そうなんですか? 何があったんでしょうか?
上田:振り返って見ると、ちょうど去年の今頃って、木下ふみこ問題(免停を繰り返した挙句東京都議選の期間中などに無免許運転で当て逃げ事故を犯し、道路交通法違反の罪で在宅起訴)で、てんやわんやしていた時なんですよね。小池都知事としては、どこかもっと他に注目を浴び、自分が評価されるところを探していたんだと思います。
菅首相の時は適当に馬鹿にして自分を補強していたらよかったけれど、岸田さんにはちょっと絡みづらいじゃないですか。それで太陽光パネル設置義務化に目を付けて「ワタシ元環境大臣で、東京都が先に義務化よ!」というのを思いついたんだと思うんです。場当たり的に。
だけど、政府は環境関連法を改正しましたけれど、断熱化(すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準「断熱等級4」の適合を義務付け)で止まりましたよね。政府は慎重になっちゃっているんで、小池都知事は政府が法改正する前に、先に自分がやるんだと言って、今年の年始めにはそれを成立させたかったんだと思います。
政府もパネル義務化をやる感触もあったし、そうすると自民党も反対に回らないし、公明党もついてくるだろうから、都で強引に進められることを想定していたのでしょう。でも、岸田政権になって想定外に自民党がブレーキをかけたんで、あれっとなった。
小池都知事は希望の党の立ち上げで失敗し、木下ふみこ問題で評価を落とし、神宮外苑の再開発でも都民の意思を読み違え、太陽光パネル設置義務化でも下手を打ったわけです。