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樹木1000本伐採…神宮外苑再開発「反対署名」8万6000筆を集めたロッシェル・カップさんとは何者か?小池都知事に伝えたい想いとは?作家・鈴木傾城がインタビュー

樹木1,000本近くを伐採する計画のある東京・明治神宮外苑地区の再開発事業に反対運動が起きている。中心となっているのは、東京都民でアメリカ人実業家のロッシェル・カップさん。反対の署名運動を立ち上げて、8万6,000名以上(現在)の賛同者を集め、反対運動の急先鋒に立った。このロッシェル・カップさんとはいったいどんな人なのだろうか?なぜ署名運動を始めたのか?作家・鈴木傾城がロッシェル・カップさんにロング・インタビューを試みた。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

「樹木1,000本を伐採」明治神宮外苑の再開発に驚いた東京都民

都心のオアシス、歴史ある景観、市民の憩いの場所、東京屈指の風致地区……。今、この明治神宮外苑の再開発において、その手続きの不透明さや景観破壊の計画が市民無視で始まって反対運動が起きている。

明治神宮外苑の再開発については、2021年の末に行政による「あまり告知されなかった住民説明会」と「たった2週間の縦覧」で、ほとんどの国民が知らないまま2022年2月9日に東京都市計画審議会で賛成多数で採決され、翌月3月10日には小池百合子都知事が承認して再開発計画の実行が決まったという経緯がある。

計画の全貌を知って驚いたのは東京都民だった。

「緑豊かな街にする」と言いながら樹齢100年はある樹木が1,000本近く伐採され、親しまれている神宮球場も建て替えという名の破壊がなされる。イチョウ並木は残されてもギリギリまで新球場が寄せて建てられて環境も悪化する。知らない間にこのような計画が承認されたわけで、都民はまさに寝耳に水であった。

明治神宮外苑の環境を愛する人たちはすぐに反対運動に動いたのだが、ここにひとりのアメリカ人実業家ロッシェル・カップさんも含まれていた。彼女は景観を壊す明治神宮外苑の再開発反対の署名運動を立ち上げて、8万6,000名以上(現在)の賛同者を集め、反対運動の急先鋒に立った。

マスコミもロッシェル・カップさんが明治神宮外苑の景観を守るために積極的に活動していることを報じ、写真週刊誌『FLASH』では『小池都知事にアメリカ人実業家が宣戦布告…「神宮外苑再開発」樹木の大量伐採を止めろ!』という見出しでロッシェル・カップさんを報じて大きな話題となった。

アメリカ人実業家が動いているというので、ネット界隈では「ロッシェル・カップとは何者なのか?」「裏にはCIAがいるのか、いやロシアの工作員なのか?」と陰謀論まで湧き上がって噂がひとり歩きをしている状態にもなっている。

実際、ロッシェル・カップさんとはどんな人なのだろうか……。作家・鈴木傾城がロッシェル・カップさんにロング・インタビューを試みた。

反対運動の先鋒はアメリカ人実業家?ロッシェル・カップさんとは何者か

――明治神宮外苑の再開発なんですが、『FLASH』っていう雑誌で「あの小池都知事にアメリカ人事業家が戦戦布告」という記事が出て、もう国民がみんなびっくりしてしまいました。びっくりした内容は3つぐらいあると思うんですね。

1つは「明治神宮が再開発される」というのを、みんな知らなかった。もう1つは「あれ、署名活動でやってるのは、アメリカ人だったの?」ということです。これは、かなり意外だった。そしてもう1つは、カップさんが再開発反対で動いておられるというのは顔写真まで出て派手に報道されたわけですが、「そのカップさんって誰で、どういう経歴の人で、どうして関わっているの?」というものです。

そうね、はい。(笑) なんか、ある人はロシアの工作じゃないかとかネットに書いていました。他にもCIAの工作員だとか。そうではありません。それはないので安心してください!(笑)

写真:山本和幸

写真:山本和幸

――それで今日の質問なんですけども、カップさんは、どういうキャリアで、どういう経緯で日本にいるのか、そのあたりを最初にお聞かせ頂ければと思います。

ロッシェル・カップって誰なのか、みんな疑問を持ってるかもしれないけど、実は日本との関わりは非常に長いです。最初は日本に関して関心を持ったのは高校時代でした。なぜ日本に関心を持ったのかっていうと、私の趣味(ホビー)は美術だったからなんです。絵を描いたり、版画を作ったり、そんな中で複数のきっかけで日本と触れることができました。

私は9歳の頃から育ちはシカゴですが、シカゴには大きな美術館があって日本の浮世絵なども集められています。よく日本でも浮世絵の展覧会がありますが、その絵はシカゴから借りていることが多いです。北斎の津波の絵とか、シカゴの美術館にあるんですよ。私はその美術館によく行っていて、それが日本との関わりのひとつです。

そして私は芸術家のアトリエでレッスンを受けていたのですが、そのスペースに日本人の芸術家もいて作品を作っておられました。彼女のご主人はシカゴの会社で働いていたんです。彼女の作品は非常に良かったし、世間話をするととても親切で面白い人でした。

あと私の高校時代の友人の間には、数人の日系アメリカ人の女性がいました。そして彼女たちの家を訪問すると、ご両親は日本人で、日本のいろんなものを置いてあって、面白かったんです。

そして、私の友達グループと一緒に1年間、日本からの交換留学生が毎日一緒に昼ご飯食べてました。そして毎日彼女が何か日本のものを持ってきたんです。日本の普通のものでもアメリカのものと全然違うでしょう。例えば、彼女が読んでた小さな本……。小さいし、字が上から下に流れていて、あぁこれは面白いと思って。

それだけじゃありません。私が育ったところは植物園もそばにあって、そこで定期的に生け花の展覧会を開催していました。生け花は、特にその当時アメリカにはそういったようなものは全然なくて、これはもう普通のアメリカのフラワーアレンジと全然違う感じで、本当に美しくて何かすごく感動しました。

このように日本に触れる機会がシカゴでたくさんあって、日本にすごく興味を持ちました。「あぁ、日本のものって面白い、日本のものってかっこいい、美しい」と思ったんですね。

そして大学に入ったら、何かビジネス関連の仕事をしたいと思っていたんですが、ちょうどその頃は日本の会社がどんどんアメリカに進出したりしていたんです。ある雑誌記事では「これから日本との関わりが多くなるが、日本語ができるアメリカ人が非常に少ないので、日本語できたらキャリアのチャンスがあるだろう」と書かれていました。

それで、もし日本語を勉強すればちょうど一石二鳥になると思ったんですね。

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