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樹木1000本伐採…神宮外苑再開発「反対署名」8万6000筆を集めたロッシェル・カップさんとは何者か?小池都知事に伝えたい想いとは?作家・鈴木傾城がインタビュー

反対署名8万6,000人超えも、政府の反応は「薄かった」

――それで、署名が8万6,000人を超えたということですね。署名の成果がこれだけあって注目されて、しかもカップさんが都知事と対決するみたいなポーズでも報道されて、もっと目立つようになってきたわけですが、行政の反応はどうでしたか?

反応は薄いですね。行政に対して要望書も出したけど、要望書っていうのは答える義務がないですね。私の知っている日本人は陳情も出しましたけど、その陳情は不採択でした。それも正直言うとおかしいと思いました。実は、その陳情は「歴史的な環境を持ってる神宮外苑を大切にして緑を保存しましょう」みたいな、かなりマイルドな感じにしたんですが、それでも不採択だったのです。

――じゃ反対運動はしてるけども、行政からのレスポンスっていうのは鈍いということなのですね?

東京都のサイトにはプロジェクトに関するQ&Aがあって、それを見ると、私の署名に上げているポイントに答えようとしている感じですけど、答えとしては弱い感じですね。例えば、署名の中では「個人が使えるスポーツ施設、バッティングドーム、軟式球場、テニスコートなどがなくなるのは問題です」と言っているのですが、個人が使える施設がなくなるのは否定できないので、答えになっていないふわふわした言葉で逃げようとしています。なくなるから答えられないわけです。Q&Aは、答えになってない、そういうような感じのものしかないですね。

日本では一度このようなプロジェクトが発動すると、止めるのは難しいことをよく言われます。しかし、先日の東京新聞の世論調査では再開発の計画には7割も反対しているんですね。計画を強行するのは、小池知事にとって何のメリットがあるのでしょうか。いくら考えても理解できないですね。彼女がこのプランの発案者じゃないですけれども、でも今は誰かが止められるのであれば、彼女しかないのです。

写真:山本和幸

写真:山本和幸

小池都知事なら止められるはず

――都知事の権限で、この再計画を止められるはずだと。

最近の展開としては、三井不動産などの事業者に対して「市民の共感と参画を図ることにもっと力を入れてください」みたいなことを小池都知事は言っているわけです。でも、その指示はあまりにも非現実的と言いますか不可能だと思います。今、進められている再開発計画など誰が共感するでしょうか。それがまず無理でしょう。そして、本当に市民の参画が欲しいのであれば、白紙撤回して1から考えてみんなの市民の意見を取り入れながら行うしかないですね。今のできあがった計画では、市民の参画を得ることはもう不可能です。だから彼女の言っていることはとてもきれいに聞こえるけど、全然意味がないですね。

でも、いつも非常に残念だと思うのは、日本のジャーナリストのほとんどは、小池知事のきれいな言葉に対して、突っ込んだ質問をほとんどしないことです。毎回、彼女がワーワー言って、ジャーナリストはそれを黙って聞いて書くだけ。今回の件で唯一、しつこく質問したのは東京新聞の記者で「どんな参画を考えてますか」と突っ込んだ質問をしたのですが、彼女はすごく苛立った反応だったのですね。聞かれたくない、みたいな反応だったのです。彼がそうやって質問してくださったのはすごくありがたかったんですが、日本の他のジャーナリストにもそうしてほしいですね。

――カップさんには、そういう小池都知事の反応がとても不誠実に見えるということですね?

ちょっと外から見ると、彼女にとってこのプロジェクトを強行するメリットは何なのか本当に想像しにくいです。市民の7割が反対して、市民が愛している風景と施設がなくなったりして、もう明らかにある限られた業者だけが、お金を儲ける目的だけでみんなが愛してる神宮を壊す。それを承認することに、彼女にとって何のメリットがあるのか。

三井不動産からもらっている献金はそれほど膨大なものですか。森喜朗さんはまだそれほど権力があるんでしょうか。私はよく分からないけど。小池百合子都知事は「神宮外苑を壊した都知事」として知られたいでしょうか? 彼女は馬鹿な人だとは思わないので、私にとってこれが本当に謎です。

だからセンセーショナルな報道があった時に私が言ったのは、「私は小池知事に対して戦争してるわけではなくて、実は彼女を手伝ってあげたいと思っています」ということです。彼女の方からは戦争のように見えるかもしれないけど、私が彼女にすごく苛立っているように思っているかもしれないけど、そのつもりじゃないです。

彼女の良心に訴えたいのです。「この方がいいコースだよ」とか、「この方が最善ですよ」とか方向を示したいのですね。私は一応、仕事として経営コンサルティングが非常に長いでしょう。そして最近は企業の取締役もやってます。私の仕事ではリーダーシップの席にいる人に対して、提案をしたりアドバイスをすることです。それが私の本業ですね。なので、ちょっと小池都知事にアドバイスしたいわけですよ。彼女が私のアドバイスを聞きたいかどうかは分からないけど、一応アドバイスする人としては実績を持っていると思っています。

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