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自民党に飼いならされたNHK会長人事。署名運動「前川喜平さんを次期NHK会長に」で“忖度”公共放送は変わるか?=今市太郎

そもそもNHK会長は一体どうやって選ばれて来たのか?

過去30年あまりのNHKの会長経験者を見てみますと、2008年まではNHK内部の出身者から選出されていました。

ところが、その後は民間の活力を活かして改革していくということを大義名分に、財界人で企業経営に携わってきた人間を任命する動きとなっています。

このNHK会長は同組織の経営委員会が任命することになっており、12名の経営委員のうち9名以上の多数の議決で任命されます。

まぁこれならそんなに不健全な任命は行われないだろう……と思われがちですが、そもそもこの経営委員自体、両議院の同意を得て総理大臣が任命することになっています。

安倍首相はまずここから必ずしも適格とは思えないような輩を経営委員に送り込み、最終的に政権の息のかかった会長を2008年以降、延々と送りこむことに成功しています。

恐らく歴代首相としては、当時の菅官房長官と共にNHK人事にもっとも手を突っ込んでかき回したのが安倍元首相であったことが、今さらながらによくわかる状況です。

NHKは「統一教会」問題の報道もかなり遅かった

福地茂雄氏(元アサヒビール社長)、松本正之氏(元JR東海社長)、籾井勝人氏(元三井物産副社長)、上田良一氏(元三菱商事副社長)、前田晃伸氏(元みずほFG元社長)と前身の肩書としてはかなり重厚な存在が並びましたが、共通するのは放送事業に対する知見がまったくないこと。

業務のスリム化やガバナンス強化がNHKの改革課題とされても、外部から送り込まれたお飾りの存在がたった1期3年の任期で交代となることから、案の定、過去12年で5回も会長が代わるという異例の事態になっています。

そのくせ政権に危機が及ぶような放送や人事が行われることになると、NHK局内の人事権をもつこの会長が政権の命を受けて動くことになるわけです。

NHKの報道番組が骨抜きになり、為政者にとって都合の悪い材料は一切ニュースでも扱わないというのも、至極うなずける体制となっています。

実際に今年、統一教会の問題が顕在化した時も、NHKはもっとも遅くこのことをニュースで取り上げたという最悪の実績を詳らかにすることとなってしまいました。

Next: NHKを制御した安倍政権の手法は終焉すべき時期

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