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アップル「脱中国」は達成間近。消えた中国の世界的輸出増、サプライヤーの9割がインド・ベトナム移転へ=勝又壽良

消えた世界的輸出増

中国が内需振興へ力を入れている裏に、輸出不振という大きなプレッシャーが存在する。1~2月の輸出(ドルベース)は、前年同月比で6.8%減になった。輸入(同)は、輸出減を反映して10.2%減とさらに落ち込んでいる。

この輸出入の不振には、世界的なサプライチェーンの供給圧力が減り正常化したことが大きく影響している。その意味で、「パンデミック特需」は終了したのだ。

米ニューヨーク連銀は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)宣言から約3年を経て、グローバルサプライチェーンが通常に戻ったと分析した。NY連銀のグローバルサプライチェーン圧力指数は、2月の数字がマイナス0.26となり、2019年8月以降で初めてゼロを下回り、全世界の供給圧力が標準値未満に低下したのである。『ブルームバーグ』(3月7日付)が報じた。

これは、重大なシグナルである。中国のサプライチェーンにかかっていた超過需要圧力が解消されたことを示すのだ。中国輸出が、減少している背景がこれである。

習氏が、前述のように「国際市場に頼り、われわれを救うことはできない」という意味は、輸出で稼ぎ食糧などを輸入するというこれまでのパターンを警戒しているのであろう。中国のサプライチェーンが、世界へ与える影響度はすでにピークを過ぎたのだ。米中対立によるデカップリング(分断)が、これをプッシュしていると見るべきだろう。

アップルの「脱中国」はもう止まらない

冒頭で、アップルの中国サプライヤーの脱中国について触れたが、さらに詳しい動向を紹介したい。

米アップルのサプライヤー企業による中国外への生産移管は、観測筋の多くが見込むよりもはるかに速く進む公算が大きい。米中の緊張悪化で被る影響を未然に防ぐ狙いだと、アップルの大手サプライヤーの一社が明らかにした。『ブルームバーグ』(3月1日付)が報じた。

これによると、ワイヤレスイヤホン「エアポッド」を製造する中国の電子部品メーカー、ゴアテック(歌爾)は、中国外の生産拠点を模索している1社だ。歌爾のようなメーカーに対し、米国のテクノロジー企業が強く代替の生産拠点を探すよう働き掛けているという。企業は、「2月からほぼ毎日のように、多くの顧客企業の訪問を受けている」と述べ、決まって話題になるのは「いつ生産を移管できるのか」だと明らかにした。

アップルは、中国で生産システムを作り上げ、全体で数百万人を雇用している。その舞台裏では、アップルの最も重要なサプライヤー10社のうち9社が、インドなどに大規模な生産移管準備をしている可能性がある。中国側が知ったら仰天するであろう。

Next: ロシアが勝てば、中国の台湾侵攻が始まる?西側が中ロを警戒へ

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