山下達郎氏の1982年に発売された『For You』が実に41年ぶりにアナログレコードとカセットで再発売され、売れに売れています。なぜこのデジタル全盛時代に、日本だけでなく世界的にアナログメディアが注目されているのでしょうか?(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2023年5月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
山下達郎氏のアナログレコードとカセットテープがオリコン4位に
ゴールデンウイークの間となる5月3日、日本を代表するシンガーソングライターである山下達郎氏の1982年に発売された『For You』が実に41年ぶりにアナログレコードとカセットで再発売されました。
そして、5月15日付「オリコン週間アルバムランキング」において第4位(初週売上2.0万枚)にランクインするという快挙を成し遂げています。
いまやほとんど見かけなくなったLPレコードとカセットでこのセールスを記録したわけですから、業界でも驚きをもって迎え入れられた状況です。
まぁ、1982年発売時の「オリコン年間LPレコードアルバムランキング」でも第2位(43.9万枚)のセールスを記録した超人気コンテンツですから、再発ともなればそれなりの需要は見込まれていたのでしょう。
とはいえ、21世紀のこの時代にLPレコード主体で飛ぶように売れていくことになったのはさすがに驚愕の状況で、デジタル・サブスク優勢のはずの音楽市場に大きな変化が現れ始めていることが見え始めています。
なぜ若者が買う?山下達郎氏「よくわからない」
5月3日、NHKで不定期に放送されている漫画家・随筆家であり画家でもあるヤマザキマリ氏のラジオ番組に、山下達郎氏がゲストとして登場。この時期にアナログのLPレコードがブームになっていることについて、ご自身でも「よくわからない」と話しています。
なんでも最新のデジタルリマスターとヴァイナルカッティングにより82年当時のアナログメディアの音像をかなり精密に再現することができたということで、そのクオリティの高さも人気を誇る大きな秘密になっているようです。
こうしたアナログメディアを購入する向きは、当時を懐かしがる世代ではなく、完全に若者が中心となっているのも話題とのこと。
デジタル世代のメディア選択に大きな変化が現れていることを示唆する動きになっているようです。
今後1976年~1982年までの7作品(総計8アイテム)が毎月アナログ盤とカセットで順次発売されていくということですから、このブームは当分続きそうな状況になっています。
すでにネットや店頭販売では売り切れ続出となっており、欲しくても手に入らない状態が示現しています。
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