値上げしても売れる代替の効かない商品
22年12月期は生理用品、大人用オムツ、ペット用品のいずれでも値上げを実施。決算会説明資料を読むと、随所に価値転嫁(=値上げ)という単語が出てきています。
そして、今期23年12月期はさらなる値上げを実施することで、原材料費高騰を吸収し、過去最高の業績を達成する見込みです。
ただし、使っている商品が値上げされるのは嫌ですよね?(私は嫌です)
それでもユニ・チャームの商品は売れているのです。
それはなぜでしょうか?
1つは、代替の効かない商品を開発していること。
例えば、シンクロフィットという商品があります。
この商品は、従来の生理用品とはあまりに使い方が異なる、いわば新しすぎる商品であったため、発売当初は全く売れませんでした。
しかし、指原莉乃さんのYouTubeや使用者のX(旧Twitter)でのツイートなど、SNSのバズりをきっかけに近年大ヒットしている商品です。
新しすぎるということは、他にない商品=代替が効かない商品を開発している、と考えられます。
社長(男性)自らが生理用品の使い心地を確認
さらに、代替が効かないだけではありません。
ユニ・チャームは全ての商品で、とことん使い心地にこだわっています。
その代表的なエピソードを、経営コンサルタントの大前研一さんの本から引用します。
これは高原慶一朗氏(前CEO)本人に聞いた話だが、生理用ナプキンの開発当初、高原氏は自分のパンツにそれをつけ、感触を確かめたという。営業に行く際には、ずっとつけていたそうだ。その後も、高原氏と同じように自ら一晩ナプキンを当てて寝る開発チームの男性社員がいた。徹底的に使い心地にこだわったからこそ、ユニ・チャームはここまで成長したのである。
出典:『発想力:「0から1」を生み出す15の方法』著:大前研一/刊:小学館
まとめると、高い営業利益率を維持できる理由は、自社製品の使用者の立場になって製品を開発し、履き心地・使い心地の良い商品を展開しているからです。
代替が効かない性能・使い心地を実現しているからこそ、値上げをしても顧客が離れず、高利益率につながっているのです。