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ウクライナ戦争で「一人勝ち」米国が世界一のエネルギー供給国へ。「敗者」中国は経済崩壊の危機=斎藤満

米英の「軍産系」もそろそろ停戦の準備に入った?

もともとウクライナの親ロシア地域を不安に陥れ、ロシアをウクライナにおびき寄せたのが米英の軍産系とも世界支配層ともいわれています。実際、軍産系は明らかにこの戦争で利益を得ていて、戦争をいつまでも続けるインセンティブを持っています。

またバイデン大統領は息子のハンター氏とともに、ウクライナで地位を利用した利益を得たとの疑惑があり、これを守ってくれるゼレンスキー大統領を支援する必要があります。

しかし、来年の大統領選挙で負ければ、共和党はウクライナ支援を縮小する可能性があり、バイデン親子の秘密保持も怪しくなります。

このため、現政権はその前にウクライナ優勢の形に持って行き、その下で西側主導の停戦交渉を考えている節も見えます。

それが最近打ち出したウクライナへの10億ドルの追加支援です。ウクライナの反転攻勢を強化し、プーチン大統領に打撃を与えれば、停戦交渉が有利に展開できるとの算段です。

中国が敗者

この米国と対照的に、中国の「負け」が濃厚となっています。

西側によるロシアの金融機関制裁、つまりSWIFTからの排除は、中国に大きな衝撃を与えました。中国は実質的にドルリンクの経済で、ドル調達の道を閉ざされれば経済は窒息死します。中国が台湾進攻に出れば、米国が中国の金融機関をSWIFTから排除するリスクを強く感じたはずです。実質的に台湾進攻が困難になりました。

それだけではありません。実質ドルリンクの中国は米国の金融政策に合わせなければなりませんが、米国の急激な金融引き締めは大きな負担になります。ドル金利に合わせて利上げをしないと、中国の資金は米国など海外に流出し、人民元が下落します。

しかし、現在の中国は不動産バブルの実質崩壊、地方債務の膨張で引き締めどころではありません。

実際、逆に部分的な利下げ、預金準備率の引き下げなどを余儀なくされ、人民元は1ドル7.3元の危機ラインを超えました。それだけ資金が流出し、意図せざる金融引き締めが起きています。政府は強烈な資本規制で資金の流出を抑制せざるを得なくなっています。中国の経済があまりに弱まると、習近平政権が揺らぎ、米国の中国に対する「新冷戦」が維持できなくなります。

このため、日銀に圧力をかけ、金融緩和を維持して中国を支援するほか、FRBもインフレ抑制の利上げに手加減するようになりました。弱すぎる中国では利用価値が下がるためです。

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